(第640回)
 国際モータースポーツのスケジュールがめちゃくちゃになっている。9月から10月にかけてF1はイタリアGP、シンガポールGP、日本GP、韓国GP、インドGPと続く。世界耐久選手権(WEC)はシルバーストーン、サンパウロ、バーレーン、富士スピードウェイ、上海。明らかにレース数の増加と夏休みルールがもたらした弊害だ。

 シーズン開幕の3月から5、6月あたりまでは割とゆったりとした感じでレースが行われているように感じる。レース数を数えてみると、それほど差があるわけではないが、やはり9、10月はシーズン最後の駆け込みレース開催といった感が強い。加えて世界中あちこちの国で開催されるために異動などを含めるとせわしない感じがするからだろう。

 そもそもF1とかWECは世界選手権だから、どの国で行われてもいいはずだが、なぜだかモータースポーツはヨーロッパが中心になって、そのほかの国へ出掛ける時にはフライアウェイなどという。まあ、ヨーロッパ人は自分たちのテリトリー以外は“エイリアンの住む地域”だと思っているところがあるから、わざわざ飛行機で飛んで行ってやっているんだぞという感覚が、フライアウェイなどという言葉を生んだのだろう。日本から考えればヨーロッパのレースなんかみんなフライアウェイだ。

 それはさておき、9月、10月の過密レーススケジュールは何とかならないものか。レースに参加するチームや自動車メーカー、あるいは取材するメディアにとってもこのスケジュールは頭が痛い。一番の欠点はレースが続いていることでひとつひとつのレースに対して準備ができないことだ。チームはクルマの準備に忙殺され、自動車メーカーはマーケティングの効果が希薄になり、メディアは大きな企画ものを手がけられない。これではせっかくのレース開催も裏目に出てしまう。

 恐らく国際自動車連盟(FIA)、F1管理会社(FOM)、WEC、フランス西部自動車クラブ(ACO)といったレース統括団体、あるいは個々のレース主催者は、そこまで考えが及んでいない。特に個々のレース主催者は自分たちにとればレースは1戦限りだから、他のレースのことまで考える余裕はないし、考える必要もない。そこが過密スケジュールの問題の根源だ。改善するには参加側からの声が必要だろうが、その声がひとつにまとまるのも難しそうだ。

 ということで、特にFIAにはそのあたりを真剣に考えてもらいたい。日本の場合を考えると、鈴鹿でF1日本GPが行われた翌週に富士WEC、そして鈴鹿WTCC(世界ツーリングカー選手権)と続く。このあたりの調整を日本自動車連盟(JAF)はもう少し慎重にするべきで、FIAへの申請にもしっかりと日本の意見を含めてやってほしい。(モータースポーツジャーナリスト)