(第652回)
 アンリ・ペスカロロといえば、フランスを代表するレーシングドライバー。彼が主宰するペスカロロチームが会社清算手続きに入り、事実上倒産した。残念。ペスカロロはオールラウンドのドライバーで、医学生の途中でレースに魅せられ、フォーミュラカー(F1も)を経てスポーツカーレースに専念、大成功を収めた。ル・マン24時間レースには33回出場して1972〜74、84年の計4回優勝し、その他のスポーツカーレースではデイトナ24時間を含め22勝を挙げている。

 99年のル・マンを最後にドライバーを辞めてペスカロロスポーツというチームを設立、2000年代にはル・マンで最も成功したプライベートチームとして名をはせた。昨年も童夢S102をル・マンで走らせたのは記憶に新しい。

 プライベートのレーシングチームが生き延びていくのは、最近は非常に難しい時代になった気がする。特にリーマンショックの後はスポンサーが集まりにくく、自動車メーカーと関係のないチームにとれば活動は非常に限られたものになりがちだった。ペスカロロのように名前の売れた人物が主宰するチームでさえスポンサーがつかず活動資金の調達が不可能になったのだ。今年から始まった新生世界耐久選手権(WEC)は14年からプライベートチームの参戦に門戸を広げ、ペスカロロのようなチームには最高の舞台になると思われたのだが、名門チームも世の中の流れに勝てなかったということだろうか。

 現実を直視すると、確かにプライベートチームにとれば難しい時代になった。ワークスチームに対しル・マンで勝利を収めることはまず不可能で、そうであればスポンサー獲得に困難がつきまとうのは当然。それはチームの存続に影響する一大事であり、不幸にもペスカロロチームがそのえじきになったということだ。

 とはいえペスカロロチームとしてのレースへの参加はなくなったが、彼はまだ工場を手放したわけでもなく、メカニックも確保している。ゆえに今年のル・マンに参戦したいチームのオペレーションは可能だとか。伝統のある名門チームがこのまま消えてしまうのは寂しい気がする。今年のル・マンにまた童夢のマシンを走らせることはできないだろうか? 林みのるさん、鮒子田寛社長、もう一度ペスカロロと手を組みませんか?(モータースポーツジャーナリスト)