「マツダ・ロード・トゥ・インディ」と名づけられたプロジェクトが来年から始まる。今月に入ってインディカーが発表した。マツダがインディカーへとステップ・アップして行くドライバーたちをサポートして行くというのだ。

 これまではファイアストン・インディ・ライツに「ロード・トゥ・インディ」のキャッチフレーズがつけられていたが、そこにマツダのサポートするフォーミュラカー・シリーズふたつが加えられ、入門レベルに近いところからトップ・カテゴリー目前まで、幅広くサポートの手が広げられるのである。

 具体的には、USF2000、スター・マツダ・チャンピオンシップ、インディ・ライツの3カテゴリーのチャンピオンに、次なるステップへと進むための奨学制度を設けるのである。

 マツダが独自に整備したフォーミュラカーのステップは、すでに成果を挙げている。トップ・フォーミュラであるインディカーに、マルコ・アンドレッティやラファエル・マトスという卒業生を送り込んでいるのだ。

 そこに今回、インディ・ライツが組み込まれることになった。インディ・ライツのチャンピオンにどのようなシートが用意されるのか? その辺りの具体的な話はまだ不明だが、このようなサポート・システムが確立されることは非常に喜ばしい。

 日本では、マツダにフォーミュラカー・レースのイメージはないだろう。しかし、アメリカでのマツダはこの10年ほど、大々的にフォーミュラカーの活動を行なってきている。入門カテゴリーのスター・マツダ・チャンピオンシップを発足させ、中級レベルのフォーミュラ・アトランティックにエンジン供給を開始。スキップ・バーバー・レーシング・スクールのスクールカーもマツダ・エンジン搭載となった。

 その結果、「今のアメリカのロード・コースを走っているレーシングカーに最も多くのエンジンを供給しているのがマツダ」とまで言われるようになっている。

 デイトナやセブリングに代表されるアメリカのスポーツカーの世界で数々の成功を収めてきたマツダには多くのファンがおり、自分たちでもモータースポーツを楽しんでもいる。MX−5ミアータ(日本のロードスター)のワンメーク・シリーズは超・人気で、膨大なエントリーを集める。そしてもちろん、RX−7やRX−8でモータースポーツをエンジョイしている人々も数多い。

 マツダの今回の決断は、非常に興味深いものだ。彼らはとても勇気のいる決断を下したと思う。

 今のインディカーはホンダ・エンジンのワンメークで、2012年からシボレーとロータスが出てくる。マツダは彼らとインディカーで戦うのではなく、レースの世界の頂点を目差すドライバーたちに手助けする道を選んだ。「若い才能を伸ばすことに尽力できることが嬉しい」というスタンスだ。

 メーカー対決が復活する2012年からのインディカーで、ドライバーたちはそれぞれのエンジン・サプライヤーの看板を背負って華々しい戦いを繰り広げることとなる。マツダがサポートしたドライバーであっても、トップ・カテゴリーを戦う時の彼らは、マツダ・ドライバーとは呼ばれない。マツダはモータースポーツ界全体の繁栄に力を発揮しようと考えたということだ。

 他のメーカーもその辺りを理解し、このラダー・システムが長期間続くようサポートしていって欲しい。(モータースポーツ・ジャーナリスト=Amano e Associati)