第273回
リオのコルコバードの丘から撮った一枚。飛び魚の好きな風景のひとつ。リオに行くことがあったら、この丘から、もう一度この風景を撮りたいと思っていますよ。
リオのコルコバードの丘から撮った一枚。飛び魚の好きな風景のひとつ。リオに行くことがあったら、この丘から、もう一度この風景を撮りたいと思っていますよ。
 ブラジルGPは、リオデジャネイロでいま、最も高級地といわれるレプロンビーチに面したホテルの17階に泊まった。窓からは弓なりの海岸線が一望できる。大西洋から打ち寄せている波は荒々しく、サーフィンをする若者たちでいつもにぎわっていた。

 気温は30度を超える。春先だというのにリオはもう夏まっさかりだった。

 そんなブラジルで、125ccクラスの青木治親が、日本人としては4人目の世界チャンピオンに輝いた。治親は3位表彰台でチャンピオンを決めた。そして、徳留真紀がグランプリ初優勝を飾った。500ccクラスではノリックが3位になり初表彰台獲得を果たし、ブラジルGP決勝は、うれしいニュース満載の1日になった。

 書くことはいっぱいあった。あれもこれもとノートは選手たちの喜びの言葉で次々に埋まっていった。そんな選手たちの言葉を次々に原稿にするのは、実に楽しい時間だった。しかし、つらいこともある。それは、日本とリオはちょうど12時間の時差。まったく反対の生活となるために、昼間サーキットではたっぷり取材できるのだが、その分、夜になってから原稿を書かなくてはいけないという、つらい思いをすることになるからだ。

 だから、目が覚めるまでぐっすり寝てみたい、と思う日々が続いている。いつも中途半端な睡眠しか取れないし、この1週間、睡眠不足が続いている。

 そんな睡眠不足の体に連戦となったアルゼンチンの寒さは身にこたえた。ブラジルからアルゼンチンへは火曜日に移動したのだが、着いたその日に街を歩くと、街行く人たちの服装は、まだまだ冬支度。気温は日本の春先と同じぐらいなのだが、アルゼンチンの人にとっては、まだまだ春は遠いといった感じだった。

 いま、ブエノスアイレスは水曜日の早朝である。起きてみると部屋はひんやりと冷たい。エアコンのスイッチを入れると、暖かい空気が出てくる。冷房だったリオから飛行機で南に3時間ほど飛んだブエノスアイレスは、確かに、まだまだエアコンのスイッチを入れると暖房の街でもあったのだ。

 そんな街に、昨日の夜はグランプリ関係者があふれていた。ゲームセンターに、レストランに、ショッピングにと、行く先々で知った顔に会う。ブラジルからの飛行機も関係者でいっぱいだったし、これが2週連続開催ならではの独特の風景でもあるのだ。

 終わったと思えばすぐに次のレースが始まる。ブラジルで成績が良かった選手はすぐにでも走りたいだろうし、悪かった選手は、良かった選手以上にすぐにでも走りたい。しかし、今日は水曜日だ。昨日の夜に出会ったチーム関係者に聞けば、今日はコンテナの到着を待って荷物をほどくだけだという。

 レースと移動の繰り返し。ハードな日程の中で、今日はきっと、目が覚めるまで寝ていられる1日なのだ。その中でも、チャンピオンを決めた二人、青木治親とM・ビアッジは、だれよりも気持ち艮く眠っているはずだ。うーん、なんてうらやましいのだろうかと、シーンと静まりかえったブエノスアイレスの早朝の景色を見ながら思うのだった。

■1995年9月21日掲載
 ○・・・アルゼンチンに行ったら、毎日が肉づくし。この写真は、いまグランプリが開催されているテルマス・デ・リオ・オンドのスナップ。アルゼンチンは、写真を撮るのが楽しい国ですよ。