“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐特別編(15)
世界耐久選手権ル・マン24時間でも結果を残したTSR。すべて8耐制覇のために取り組んでいます(カメラ=佐藤洋美)
世界耐久選手権ル・マン24時間でも結果を残したTSR。すべて8耐制覇のために取り組んでいます(カメラ=佐藤洋美)
 “コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)の公開テストが今月4〜6日まで、三重県・鈴鹿サーキットで行われました。2日目の5日、テスト終了後にTSRの囲み会見が開かれ、参加したのは藤井正和監督、全日本ロードレース選手権JSB1000の渡辺一馬、スーパースポーツ世界選手権(WSS)のパトリック・ジェイコブセン、ロードレース世界選手権(WGP)モト2のドミニク・エガーターの4人。

 今年のTSRは、世界耐久選手権開幕戦のル・マン24時間耐久に初参戦し、3位表彰台獲得。第2戦ポルティマオ12時間耐久レースは12位となりました。全日本ロード第5戦SUGOも、鈴鹿8耐の準備のために欠場。藤井監督は「すべては鈴鹿8耐優勝のため」と語ります。

 藤井監督は「8耐に勝ちたい、すべては8耐のため。これまでと同じことをやっていて勝てるなら、それでいいが、それでは勝てないと考えた。だから、24時間、12時間と戦って来た。ビッグネームのライバルと戦うためには600のコーナーリングの速さを武器にしたかった。だから、体格が揃うライダーを探した。その狙い通りのライダーを集められた」と語りました。これまでTSRは2人体制が基本でしたが、今年は3人の力で戦おうとしているよう。

 渡辺とジェイコブセンはポルティマオで一緒に戦いましたが、エガーターはふたりとは初顔合わせ。渡辺はTSRのエースライダー。ジェイコブセンはWSSランキング3位(8戦終了時)のトップライダーですが、鈴鹿8耐は初参戦。エガーターは2014年に鈴鹿8耐初参戦。チームカガヤマで3位表彰台を獲得。昨年はTSRから参戦し、2位獲得の原動力となりました。WGPパドックで「8耐最高」とPRしてくれた貢献者です。

 藤井監督が8耐勝利のために描くシナリオは「218ラップの2分8秒台アベレージ」と語ると、ジェイコブセンは「僕らをクビにして、違うライダーを探さないとダメだなぁ〜」と笑顔でジョークを飛ばし笑いを誘いました。でも、その目標についてどう思うのかと聞いたら、渡辺は「高い目標設定ですが、それをクリアするために頑張りたい。僕が鈴鹿もマシンも1番知っているので…」とチームをまとめ上げる決意を示しました。ジェイコブセンは「可能性がないわけでは、もちろんないので、その目標に向かうためのテストを重ねている。プレッシャーがあるのは嫌いじゃない」と不敵な笑み。エガーターは「重圧は前に進むために必要な要素。優勝を目指して頑張るだけ」と語りました。

 鈴鹿8耐テスト2日目、エガーターが転倒してマシンが炎上。自らも消化活動する姿がモニターに映りました。「本当に申し訳ない」としんみり。ですが、チームベストを叩き出す速さを見せました。ちょっと左足の打撲と発表されたケガが心配ですが、7月17日開催のドイツGPモト2で活躍し、その勢いを鈴鹿8耐に持ち込んでくれると思います。エガーターは、このテスト参加のみ。自身が転倒しマシンを大破させてしまったことで、さらに責任感を持ってテストに挑んでいたように思います。スタッフは徹夜でマシンを修復、3日の走行開始したアウトラップでジェイコブセンが転倒、またマシンがダメージを受けてしまいます。それでも、最終的には総合2番手に付け力を示しました。

 思いがけない転倒があったものの、大きな手応えを残してテストが終了。マシン修復の早業は、世界耐久チームに不可欠の要素。TSRは世界耐久選手権を戦うことで、スキルアップしたことを示したようにも思います。2012年以来、4度目の勝利を目指すTSRが、これまとは違うアプローチで鈴鹿8耐に挑みます。さて、どんな戦いぶりを見せてくれるのか…。大柄でパワー満点のスーパーバイク乗りが主流の鈴鹿8耐に、繊細なテクニックを持つライダーたちが、新しい風を吹き込もうとしています。
7月4〜6日で行われた公開合同テストでも総合2番手と、順調に調整を進めています(カメラ=竹内英士)
7月4〜6日で行われた公開合同テストでも総合2番手と、順調に調整を進めています(カメラ=竹内英士)