DAIJIRO−CUPの卒業生たちも集結(カメラ=赤松孝)
DAIJIRO−CUPの卒業生たちも集結(カメラ=赤松孝)
 天才ライダー故加藤大治郎が残してくれたDAIJIRO−CUP(ポケットバイクのレース)は、今の日本のレース界のライダー育成で大きな役割を担っています。ここで腕を磨いた子どもたちが成長し、全日本ロードレース選手権や海外へと飛び出し、活躍しています。そのDAIJIRO−CUPの日本一を決める大会が、埼玉県サーキット秋ヶ瀬で8月14日に開催されました。卒業生が多く駆けつけ、会場はお祭り状態。チームカガヤマやコハラレーシングはレーシングマシンを展示し、元WGPライダー新垣敏之は“絶対転ばないウィリーマシン”を持ち込んで子どもたちと遊んでいたり、手島雄介は岡崎静夏を講師に郵政省が支援してくれるオリジナルポケットバイク「74Daijro」の試乗会を開催したり、卒業生のひとり渡辺陽向の親御さんからは大量の飲み物が届き、ブリヂストンの山田宏さんも協賛品を持って来てくれ、KTCや他にも協力してくれる人たちが大勢いて。年に一度のお祭りは華やかで賑やかでした。
加賀山就臣の走り!ポケバイでも、闘志あふれる走りは健在(カメラ=赤松孝)
加賀山就臣の走り!ポケバイでも、闘志あふれる走りは健在(カメラ=赤松孝)
 日本一を決める子どもたちの大会がメインイベントですが、昼休みには恒例、エキシビジョンレースが開催。大人が子ども向けのオリジナルポケットバイク74Daijiroに乗ってレースを行います。過去の名勝負としては、坂田和人、青木治親、武田雄一の大バトルが記憶に残っていますが、今年のMVPは加賀山就臣でした。加賀山は過去何度も、生死を彷徨うほどの大ケガを負い、そのたびにケガを克服してレースに復帰しています。絶対に転ばない、転んではいけないと周りから言われながら、闘争心あふれる走りを見せ、そして、ケガをしても復活する精神力と体力から、鉄人、サイボーグなどと呼ばれているのです。

 今はもちろん元気ですが、マシンが小さく、跨るのに柔軟性が必要な74Daijiroは、古傷が痛む可能性があり心配されました。大人には無理な姿勢のままマシンを操らなければならず、朝の練習の時には、足をステップに置くだけでも大変で、走り出す前に転倒しそうで、ハラハラだったのです。それでもマシンを乗りこなし、レースではバトルを繰り広げていました。
 さてレースはというと、ホールショットを奪った長島哲太が集団をひっぱりますが、中盤で大転倒してしまいます。巻き込まれそうになったライダーは遅れましたが、栗原佳祐、国峰啄磨、三原壮紫、太田虎之進らは華麗に回避して事なきを得ます。その集団を大久保光、武田雄一、加賀山らが追い上げる展開。秋ヶ瀬を知り尽くした武田がレースを引っ掻き回しますが、最後に前に出たのは栗原でした。

 見ている方も笑顔が絶えないのですが、ヘルメットを脱いだ後のライダーたちの笑顔が最高で、この人たちは、本当にバイクが好きで、競争となれば、どんなレースでも負けたくないのだなと再認識。その中でも飛び切りの笑顔を見せていたのが加賀山でした。
74GPに集まったライダー集合写真(カメラ=赤松孝)
74GPに集まったライダー集合写真(カメラ=赤松孝)
 レースには参戦しませんでしたが、亀谷長純や清成龍一、高橋巧、山田誓己も駆けつけ、声援を送ってくれていました。74GP卒業生の栗原や水野涼は、ツナギに74を付けて全日本ロードレース選手権に参戦しています。そのことが話題に出ると、74卒業生たちは「自分たちもどこかに74を付けよう」と約束していました。DAIJIRO−CUPで育ったことを誇りに、「ここから世界に通用するライダーが育ってほしい」という加藤の願いと自身の夢を重ねています。

 全国から集まった現役の74GPライダーたちは、先輩ライダーたちが「すごい」と驚嘆するコーナーリングスピードを見せてくれました。勝てば笑顔で、負ければ悔しくて泣いて、立ちあがって、挑んで行く。強い気持ちをDAIJIRO−CUPは育む舞台でもあります。加藤が残してくれたレースへの思いは受け継がれ、今も生き続け守られています。
74GPエキシビションレース、チェッカー!(カメラ=赤松孝)
74GPエキシビションレース、チェッカー!(カメラ=赤松孝)
DAIJIRO−CUPエキシビジョンレースのようす(チームカガヤマ提供)