WGP日本GP特別編(4)
ジャパンの力を示すべく、世界へと挑む浦本修充(赤松孝撮影)
ジャパンの力を示すべく、世界へと挑む浦本修充(赤松孝撮影)
 ロードレース世界選手権(WGP)第15戦日本GP(16日決勝)モト2にワイルドカード参戦する浦本修充(22)。今、最も注目を集めている日本の若手ライダーです。それも、今年になって急激に注目度を上げました。やっと、本来の自分を解き放てるようになったと言うか…。元々あった才能を示し始めたような気がします。今季、全日本ロードレース選手権JGP2でいきなり開幕4連勝を飾り、ワイルドカード参戦のチャンスを引き寄せました。

 浦本はDAIJIRO−CUP出身。2009年に全日本ロードレース選手権に昇格し、GP125参戦。高校生ライダーの浦本は、この頃から長身(現在184cm)で、その身体を小さなバイクに沈め、長い手足を駆使した攻撃的な走りで、注目を集めていました。

 子供の頃からの夢は「もちろんモトGP」。まずはモト2参戦を目標に、2012年に全日本ロードレース選手権JGP2への参戦を開始し、2014年まで戦いますが、タイトルには届きませんでした。世界という目標にこだわってきた浦本は、翌2015年には経験を積もうとJSB1000に参戦。ただ、どのシーズンも光る走りは見せますが、歯車がかみ合わないようなもどかしさを誰もが感じていたように思います。

 そんな浦本が今季チームカガヤマと出会い、自らレースに向き合う環境を変え、快進撃を見せることになります。
全日本ロードレース選手権JGP2の代表として、モト2へのワイルドカード参戦。存分に浦本らしい走りをせてほしい(赤松孝撮影)
全日本ロードレース選手権JGP2の代表として、モト2へのワイルドカード参戦。存分に浦本らしい走りをせてほしい(赤松孝撮影)
 今季チームカガヤマから全日本ロードレース選手権JGP2に参戦している浦本は、ランキングトップでワイルドカードの権利を得ました。ただ、モト2はホンダエンジンを搭載します。コンストラクターが制作した車体にホンダエンジンを乗せて戦うことになるため、スズキ車であるチームカガヤマでは参戦は難しく、これまでもホンダ車以外のライダーたちは、その権利を放棄してきました。

 ですが、ライダーでありチーム代表でもある加賀山就臣は「日本代表が勝負できないのはおかしい」と、浦本に走らせるべく奮闘します。加賀山は全日本ロードレース選手権を戦うライバルたちに話し、その思いに、チームやメーカーの垣根を越え、誰もが手を差し伸べてくれることになりました。

 だから、チーム名は「JAPAN−GP2」。マシン、パーツ、データ、アドバイスと各チーム、メーカーの惜しみない援助の力で、浦本は世界への舞台への挑戦権を得ることができたのです。

 全日本ロードレース選手権JGP2とモト2は、レギュレーションが違い、そのままのマシンでは参戦できません。そのことに対して、世界を目指し切磋琢磨するチームやライダーでも、どこか諦めの気持ちを抱えていました。ですが、今回のプロジェクトが実現したことによって、メーカーに縛られることなく、誰もが世界の舞台に立てる可能性を示したのです。

 加賀山は「全日本ではライバル関係にあるチームが一つになりました。全日本JGP2の代表と考え、胸を張って全力で挑戦してきます。全日本のトップライダーが世界レベルで、どの位置にいるのか。それを知ることは、今後の育成にとって大事なこと。そこから課題を見つけることができると思う。今後の全日本のあり方を考えるヒントにもなると思います。そして今回の参戦スタイルが、これからの日本のレース界を担う若手の目標や夢になるようにバトンをつないで行きたい」と言います。

 浦本は「WGPは、ポケバイに乗っていたころからテレビやビデオで見ていた憧れていた世界です。本当にたくさんの人の協力で参戦できることになり、責任を感じています。先輩の中上(貴晶)さんや、子供の頃から一緒に走っていた哲太(長島)、テレビで見ているGPライダーたちと走れる機会を大事にします」と決意。

 全日本ロードレース選手権を戦うみんなの心意気で、浦本は夢の第一歩を踏み出すことができました。重くて大きな扉をこじ開けたことを誇りに、思いのままに、伸び伸びと、浦本らしい戦いを見せて欲しいとたくさんの関係者が楽しみにしています。