WGP日本GP特別編(5)
長島哲太の走り(CEV提供)
長島哲太の走り(CEV提供)
 ロードレース世界選手権(WGP)第15戦日本GP(16日決勝)モト3にワイルドカード参戦する長島哲太(24)。現在、FIM・CEVレプソル国際選手権(旧スペイン選手権)のモト2に参戦中、常に激しいトップ争いを展開し表彰台の常連です。この大会はWGPへの登竜門。モト2、モト3へと飛び出しているライダーが大勢います。長島も、その候補のひとり。

 今年の活躍の秘密は体制が強化されたことが大きい。チャンピオンチームであるアジョモータースポーツへ移籍、初戦バレンシアは予選3番手からトップ争い中に後続車に追突され腕を負傷するという不運なスタートでしたが、第3戦アラゴン2位&3位、第4戦カタルニア3位&4位、第5戦アルバセテ2位。第6戦アルガルべ2位&3位、第7戦ヘレス3位。初戦の2レースでのノーポイントが響き、チャンピオンはすでに決定。現在はランキング2位争いを展開、最終戦バレンシアを残すのみ。

 その長島が、今季ワイルドカードでWGPアラゴンと日本GPに参戦。先にレースを終えたアラゴンは23位でしたが、日本GPでは上位進出を狙っています。とはいえ、ワイルドカード参戦の厳しさは変わりません。ツインリンクもてぎを走るのは昨年のもてぎ2&4で、JGP2にスポット参戦し優勝を飾って以来となります。

 長島哲太の“哲”は、あのWGP250チャンピオンの原田哲也の“哲”。長島の母が大ファンだったことから命名されたそう。レース好きの両親の元に生まれた長島は3才の頃からポケバイを初め、2004年DAIJIRO−CUP2代目チャンピオンとなります。サーキットで出会った大好きで尊敬する先輩、故富沢祥也の後を追いかけるようにキャリアを積みます。2011年にGP−MONOチャンピオンとなり、2012年にJGP3ランク2位。2013年JGP2ランク6位となると、2014年にはモト2参戦を果たすのです。長島は20才、成人式の取材をさせてもらったばっかりでした。

 長島は元WGP500チャンピオンのケニー・ロバーツのトレーニングに参加し、ケニーから「開けっぷりがいい」と絶賛され、伊藤真一も「勢いがある」と評価、誰もが次世代のヒーローと期待を寄せていました。

 でも、この2014年は大きなケガをしてしまい、結果が残りませんでした。シートを失い、2015年にはCEVで武者修行。最終戦バレンシアでは右肩脱臼、右腕上腕骨にヒビが入り、ドクターストップがかかりましたが、それでも腕立て伏せをして走れることをアピール。連続表彰台を獲得し、ただ者ではないことを示しました。

 「2014年は言葉の壁があって、うまく言いたいことを伝えることが出来なかった。だから、セットアップも進まなくて…。でも、あの時とは違う。CEVでも、常にモト2を意識してトライし続けている。海外で戦った3年が無駄ではなかったって、成長したということを示したい」
 長島は昨年もワイルドカード参戦したいと願い続けていましたが、叶いませんでした。今年は、やっと参戦することが出来ました。長島は「WGPは世界一を決めるレース、その緊張感、ピリピリとした空気は、ここでしか味わうことが出来ない。たくさんの人が注目してくれる大会に、参戦出来ることは最高の栄誉だと思う。このチャンスをくれた恩人への感謝を結果で表したい」と語ります。

 WGP参戦を一度掴んだ者が、復帰する道は初参戦の時より険しい。その茨の道を長島は懸命に歩んでいます。WGP参戦は、低年齢化が進んでいるけど、レースは大人のスポーツ、あの天才ライダー原田哲也、加藤大治郎らが世界へ出かけたのは23才の年でした。長島、24才。悔いのない戦いをと願っています。