“コカ・コーラ”鈴鹿8耐特別編(1)
鈴鹿サンデーロードレースで見事8耐参戦切符を掴んだ清成龍一(モリワキ提供)
鈴鹿サンデーロードレースで見事8耐参戦切符を掴んだ清成龍一(モリワキ提供)
 世界耐久選手権(EWC)の最終戦、“コカ・コーラ”鈴鹿8耐(7月30日決勝)のエントリーチームが、5月20日に行われた「鈴鹿8耐トライアウトFINALステージ・鈴鹿サンデーロードレース」によって、62チームに決定しました。

 今年EWCは、2016年−17年と年を跨いで開催されます。開幕戦は昨年の9月フランス・ボルドール24時間耐久レース、第2戦が4月にフランス・ルマン24時間耐久レース、第3戦は5月にドイツ・オーシャルレーベン8時間耐久レース、第4戦は6月にスロバキア8時間耐久レース、そして7月30日に最終戦が鈴鹿8耐となります。

 EWCを統括するユーロスポーツイベント(欧州のスポーツチャンネル)のフランソワ・リベイロ氏も、鈴鹿8耐の価値を高く評価しています。リベイロ氏は、「この華やかな大会こそが世界チャンピオンが生まれるにふさわしい舞台だ」として、今シーズンのスケジュールを変更。鈴鹿8耐は、これまでも世界的な注目を集めるレースでしたが、この改革により、世界中に鈴鹿8耐の戦いが配信されることになり、欧州でのファン急増が期待されています。
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)
 ただ、それにともなって鈴鹿8耐のエントリー争いが激化。EWCフル参戦チーム13枠と、昨年の鈴鹿8耐での実績を考慮した22枠の計35チームは決定していますが、新規チームや実績を残せなかったチームは、鈴鹿8耐トライアウトに挑戦して出場権を得なければなりません。全日本ロードレース選手権、第2戦鈴鹿2&4で10枠、全日本第3戦SUGO大会にも2枠が設けられ、最後ファイナルステージの鈴鹿サンデーロードレースで15枠が設けられました。

 このトライアウトには、鈴鹿8耐で4勝を挙げ、勝利数歴代2位の実績を持つ伊藤真一と清成龍一さえも挑戦しなければなりませんでした。伊藤は、鈴鹿8耐参戦のために作られた「Team SuP Dream Honda」からの参戦のために出場権は得られず、清成が参戦するモリワキも08年以来の鈴鹿8耐参戦ということで、トライアルに回りました。

 清成はチームメイトの高橋裕紀とともに出場権を得るため、トライアルに挑みました。誰もが当然のように、1回目のトライアウトとなった鈴鹿2&4で出場権を獲得するだろうと思っていたのですが、なんとふたりは転倒してしまいます。このレース、あの全日本王者の中須賀克行(ヤマハ)も転倒するという波乱のレース。こんなこともあるのだなあと、「弘法も筆の誤り」のことわざを思い出し、プレスルームでは皆が顔を見合わせることになるのです。
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)
 そして2回目のトライアウト、SUGO。雨と霧の悪天候のため予選がキャンセルされ、決勝当日の朝に予選を行うワンデーレース。霧はありませんが、雨が降り続いていました。地元の宮城県出身の伊藤がSUGO8耐トライアウトに参戦するということで、観戦に訪れた宮城県のファンにとって嬉しいサプライズになったようです。そしてこのレースで伊藤は7位となり、トライアウト通過で出場権を得ます。

 しかし、清成はまたしても転倒してしまいます。中須賀も転び、昨年の岡山国際で雨の優勝を飾った山口辰也(ホンダ)も転倒するという波乱ぶりで、厳しい戦いなのだと再認識させられます。チームが変わったり、マシンが新型になったり、タイヤのホイールサイズが変わったり、それに順応するのはトップライダーでも簡単ではないのだなと…。ましてや清成は15年ぶりの全日本ロードレース参戦なのですから、勝手が違うことばかりのはず。

 最後のチャンスを賭け、清成は鈴鹿サンデーロードレースに出場しました。このレースは、全日本ロードレース選手権への昇格を狙うライダーたちが多く参戦するレースで、世界の頂点で戦ってきた清成と走れるチャンスに、ライダーは皆喜んでいたような気がします。

 予選が始まり、清成は2分9秒728でポールポジションを獲得、2番手に高橋が続きました。いよいよ決勝レース、12ラップで行われます。好スタートを切ったのは高橋でしたが、3ラップ目のヘアピンで清成が高橋を捕らえて首位に立つと、そのまま優勝のチェッカーを受け、高橋も2位に入り、モリワキがワンツーフィニッシュ。このレースの上位15チームが鈴鹿8耐出場権を得ました。もちろん、モリワキもトライアウト通過です。ベストラップは清成の2分8秒015でした。

 清成は「もう少し攻めれば7秒は出せる状況だった」と言います。トライアウト初戦の鈴鹿2&4で優勝した高橋巧のベストタイムが2分7秒410、状況も周回数も天候も何もかもが違いますが、清成が本来の力を示せたことが何より嬉しい。清成は「今回は8耐を意識し、ロスの無い走り方を模索しながらの走行で、それでも8秒台が出ていることを考えたら、マシンの方向性は間違っていなかったということ。これでやっと8耐に参戦できる」と語りました。

 モリワキが8耐出場権を得て、清成の参戦が決まり、ホッとしているファンが世界中にいます。こんなにヤキモキと鈴鹿8耐トライアウトを見ることになるとは誰も想像しなかったはず、でもそれだけ、鈴鹿8耐が狭き門の選ばれし者たちの戦いである証でもあるような気がします。そして、これからが本番、鈴鹿8耐に向けての本格的な戦いが始まります。
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)
最終トライアウト、鈴鹿サンデーロードレースのようす(モリワキ提供)