“コカ・コーラ”鈴鹿8耐特別編(20)
全日本ロードレース選手権第2戦SUGO120マイル耐久を勝利で飾った高橋。強さを見せつけてくれました(赤松孝撮影)
全日本ロードレース選手権第2戦SUGO120マイル耐久を勝利で飾った高橋。強さを見せつけてくれました(赤松孝撮影)
 “コカ・コーラ”鈴鹿8耐(7月30日決勝)開幕が迫ってきました。今年は優勝回数4回で歴代2位の伊藤真一、清成龍一が参戦。伊藤は3年振りの復帰、そして、清成はモリワキからの参戦です。優勝回数5回で歴代1位が宇川徹も8耐ゲストとして来場予定で、例年以上に記録への関心が高まっているように思います。宇川は「伊藤さんや清成にも、もちろん可能性はあると思うけど、僕の記録を超える可能性が最も高いのは高橋巧だろう」と語っていました。高橋は現在3回の勝利で歴代3位です。

 高橋は、今年もホンダのエースライダーとして8耐に挑みます。2015、16年と2年連続でヤマハファクトリーに8耐勝利を奪われているホンダとしては、必勝態勢で臨むようです。15年はモトGPチャンピオンのケーシー・ストーナーを呼び寄せ、高橋巧、マイケル・ファンデルマークと組みハルクプロから参戦。ですが、ケーシーはトラブルから転倒してしまい、リタイア。高橋もファンデルマークも力を示すことなく、8耐が終わってしまいました。続く16年、ニッキー・ヘイデン、高橋、ファンデルマークの3人で挑みましたが、またしてもトラブルでリタイアとなってしまいます。
全日本ロードレース選手権第2戦SUGO120マイル耐久、高橋巧の走り(赤松孝撮影)
全日本ロードレース選手権第2戦SUGO120マイル耐久、高橋巧の走り(赤松孝撮影)
 高橋は今年の8耐に向けて「この2年間、自分だけでなく、ホンダやチームスタッフもみんな悔しさを抱えてきた。その悔しさを晴らしたい」と語っています。今年リニューアルされたマシン、CBR1000RRSP2の登場を誰よりも待っていたのは、高橋ではないかと思います。

 全日本ロード選手権では、エンジンのホンダが、ここ数年、誰の目にも苦戦していることが明らかだったのです。それが、今年の全日本ロードJSB1000開幕戦となった鈴鹿2&4・鈴鹿200km耐久で、高橋は3年振りの優勝を飾ります。続く第2戦SUGO120マイル耐久ではポールポジションを獲得、雨となった決勝レースでもオープニングラップから2番手に3秒235のリードを築き、その速さは周回を重ねる毎に凄みを増し、52周のレースを走り終えたときには2番手に1分9秒843もの大差をつけて2連勝。別次元の速さを示すのです。第3戦ツインリンクもてぎは、事前テスト2日間のうち、高橋は8耐テストのために1日しか参加できず、調整不足のため2位に甘んじます。
全日本ロードレース選手権第3戦もてぎでの高橋巧走り。結果は惜しくも2位に(赤松孝撮影)
全日本ロードレース選手権第3戦もてぎでの高橋巧走り。結果は惜しくも2位に(赤松孝撮影)
 ただ、開幕からの3戦は、宿敵・中須賀克行が転倒してしまったこともあり、高橋の中では「直接対決で勝ちたい」という思いが燻っていたのです。そして、迎えた第4戦オートポリス。雨と霧と風のコンデションが続き、決勝も不順な天候の中でレースディレイするなど、ライダーにとっては集中力を保つのが難しい中、中須賀vs高橋の一騎打ちが実現します。高橋は中須賀の背後に迫り、勝負のタイミングを見計らいながら周回を重ね、チャンスを待っていたのですが、序盤でトラブルが発生、残念ながら高橋はリタイアとなります。勝負はお預けとなり、その対決の舞台が8耐へと持ちこされました。

 中須賀はヤマハ8耐3連覇を賭け、アレックス・ローズ、ホンダからヤマハへ移籍したマイケル・ファンデルマークとともに挑み、高橋は、モト2の中上貴晶、モトGPのジャック・ミラーと勝利奪回に挑みます。
ホンダのエースのプライドにかけて、“コカ・コーラ”鈴鹿8耐勝利に挑みます(赤松孝撮影)
ホンダのエースのプライドにかけて、“コカ・コーラ”鈴鹿8耐勝利に挑みます(赤松孝撮影)
 高橋は「今年はマシンテストも自分ひとりでやらせてほしいとホンダにお願いし、開発に参加させてもらいました。8耐テストでも、自分が一番速いタイムを記録することで、チームにもライダーにも納得してもらって、自分のセッティングで進めて来ました。3人ともポジションも変わらず、マシンの要望も一緒なので、ここまでは順調に進んでいると思う。レースウィークで3人が望んでいた改善ができていれば、さらに前進できる」と自信を深めています。

 高橋は寡黙で、あまり話をするのが得意ではなく、有言実行タイプのライダー。だから、その頑張っている姿で「なんとかしてあげなきゃ」と、周りを動かしてきたように思います。でも、今年、高橋は自分の思いをぶつけ始めました。「マシンテストを自分にやらせてほしい」という言葉の裏には「責任は自分が取る」という強い思いが隠れています。「自分が1番速いタイムを出す」ということは、「誰よりも知り尽くしたマシンのポテンシャルを引き出せるのは自分だ。だから、それに合わせてくれることが勝利への近道なのだ」という強い自信が隠れているのです。その思いは、中上やミラーに確実に伝わり、ふたりは「高橋のマシンに自分たちが、どこまで合わせて行けるか鍵だ」と語ります。

 8耐過去39回の歴史で、27回もの勝利を獲得したホンダ。強くて当たり前のホンダの復活を賭けた戦いが始まろうとしています。高橋は、ここで8耐勝利数を4と増やし、ホンダを代表するライダーであり、尊敬する伊藤や清成に並ぶことができるかも注目です。