WGP日本GP特集(5)
 長島哲太は、今季はロードレース世界選手権(WGP)モト2のレギュラーライダーとして、日本GPを訪れます。14年、長島は念願のモト2参戦しますが、ケガもあり、本来の力を出すことができずに、一度、GPのシートを失います。15年はFIM CEV レプソル選手権モト2に参戦、16年も継続参戦します。CEVは、WGPモト2参戦を目指すルーキーたちが激戦を繰り広げており、ここからWGPモト2という流れは、現在の主流でスターライダーが数多く生まれています。

 CEV参戦当時、長島はWGPモト2復帰を明確な目標として「燃料はフルタンク、タイヤも常にハードコンパウンドと、決勝を想定してレースウィークを過ごした」と言います。勝利にこだわるなら、タイムを出しやすいセットで走ることでもっと結果がついてくるはすなのに、あえて厳しい状況を自身に課して戦ってきました。ここで腕を磨いた長島は、昨年ワイルドカード枠で、日本GPにスポット参戦、きっちりとポイントを獲得する走りを見せ、格の違いを見せつけます。さらにCEV最終戦では念願の優勝を飾り、ランキング2位で、堂々とWGPモト2復帰を果たすのです。
 シーズンオフには肉体改造のため、さらなるトレーニングを行います。長島は「CEVよりも、WGPモト2は周回数が長いので、これまで以上に持久力が必要。最後まで集中力を保つための体力も大事」と言い、取り組んでいました。今季シーズンインの頃には、体つきも、顔つきも変わり、シャープさが増したようでした。

 実際に、今年の鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦した長島の走りは、その成長を示すものでした。慣れないマシン、タイヤという条件の中でチームを引っ張り、グングンとタイムをあげて行く存在感は、12位という結果以上のものでした。
 WGPモト2でも、その存在感を示しつつあるように思います。これまでの戦いで一番印象に残っていると語るのは、オーストリアGP、レッドブル・リンクの戦い。スタート直後の多重クラッシュでコースアウトし、最後尾から追い上げに追い上げ、結果12位となります。長島は「アクシデントがなければ絶対にシングルフィニッシュできたと思うので、悔しい結果だった」と振り返ります。

 これまでの長島は、決勝アベレージタイムではトップライダーに負けていないのに、予選順位が思うようなポジションでないことで、常に追い上げのレースを強いられています。トップ争いの手前の集団に捕まり、前に行けないもどかしさを抱えているのです。長島は「セクター毎のタイムはトップライダーよりも速いタイムでクリアしている場合もあるのに、それを一周のうちにまとめきれていない。それができれば、課題の一発タイムの速さにつながるはず。トップレベルのライバルたちの一発タイムに追いつき、予選グリッドを少しでも上げて勝負がしたい」と言います。

 モト2はベテランが多く、トーマス・ルティは250ccクラスも入れると参戦歴は10年、フランコ・モルビデリはモト2で5年、中上も6年のキャリアがあり、中上は初優勝まで5年。さらに125cc時代を入れると、長くWGPの舞台で戦っているライダーが多い。そう考えれば長島はルーキーそのもの。ここまで苦闘しながら14戦を戦い、試行錯誤しながら速さを求めるモト2ライダー長島の走りは必見です。ぜひその挑戦する姿を、じっくりと堪能しにもてぎに来てほしいなと思うのです。