オフシーズン振り返り企画第4回目は、昨年9月に出かけた2017〜2018年世界耐久選手権(EWC)の開幕戦、フランス、ボルドール24時間耐久のお話第2弾です。
 2017年4月に開催されたフランス・ルマン24時間耐久の事前テストで亡くなったアンソニー・デラール選手。彼は、EWCで15回ものタイトルを獲得したスズキエンデュランスチーム(SEAT)のライダーでした。彼の死を悼み、讃え、顕著な活躍をみせたをチームに「アンソニー・デラール賞」が贈られることが、決勝日のセレモニーで発表されました。

 1回目の受賞は、4位に入ったSERTが獲得。第3戦ドイツ・オーシャスレーベン8時間耐久では、予選3位から決勝に挑んだTSRホンダが選出されています。TSRホンダは、序盤のトラブルでほぼ最後尾まで順位を落としますが、そこから追い上げをみせ3番手浮上、ですが終盤のアクシデントにより後退、そこからまた追い上げて結果5位に入ったガッツが評価されました。

 最終戦の鈴鹿8時間耐久では、ヨシムラが受賞。優勝候補の一角に挙げられていましたが、序盤に転倒喫し、それでも首位を走るヤマハファクトリーチームと遜色ない速さで怒涛の追い上げをみせ、最後までバトンを繋ぎ切って7位。大いに観客を沸かせたことで受賞しています。
 そして、今季の開幕戦ボルドール24時間耐久では、昨年のルマン24時間耐久で大久保光が参戦したフランスのナショナルモトスが獲得しました。

 ナショナルモトスは、フランス国内にあるバイク屋さんが母体のプライベートチームですが、ふたりのライダーで走り切るという信じられない挑戦が評価されたのです。ナショナルモトスは、10位争いを繰り広げる健闘を見せていましたが、トラブルによるイレギュラーなピットインで、ホンダの新型マシンで挑んだチームはマニュアルを見ながら修復作業を行い、その間に後退してしまうのですが、最終的には27位で完走しました。

 8時間耐久レースでも3人のライダーで戦うのに、24時間をふたりのライダーは、かなりの冒険。3人なら2時間は休める。それでも、着替えて、マッサージを受けて、すこし食べて、また着替えて、というローテーションが続き、マッサージ中に少しウトウトするくらいで、すぐに戦闘モードに戻らなければならない。それがふたりになると、ほとんど休めません。チームの作戦で連続走行なんてこともあるようなので、EWCライダーたちの体力は、ちょっと違うのかもしれませんね。それほどナショナルモトスの活躍は、称賛に値するものでした。
 監督のステファン・アダジュは、「当初は3人で走る予定だったが、ふたりのライダーで戦うことになってしまった。無謀な挑戦だったとは思うが、ライダーたちがしっかりと走り切ってくれた。トラブルで順位を落としてしまったことは残念だったけど、メカニックもスタッフもしっかり対応してくれて、再びコースに戻ることができた。チェッカーを受けられただけで嬉しかったが、その後にこのデラール賞受賞のことを聞いた。とても光栄。一緒に戦った皆のことを誇りに思う」と語っていました。

 ルマン24時間耐久を取材したことを覚えてくれていたアダジョ監督は、夜中のピットで写真を撮っていた日本人プレスの私たちに、熱いコーヒーを差し入れしてくれました。ピット裏には、スタッフのためにチェコレートやクッキーが用意されているのですが、それも「いつでも食べて下さい」と、礼儀正しく声をかけてくれました。冬用ジャケットを着てマフラーをグルグル巻いていても、寒さが身に染みるボルドールのピットで飲むコーヒーは、身も心も暖めてくれるようでした。チェッカー後はメカニックの方が「大久保に送るから、一緒に写真を撮ろう」と私たちに声をかけてくれてパチリ。

 今大会では、ナショナルモトスが提供したバイクが観客に当たるというセレモニーがあり、喝采を集めていました。ナショナルモトスの名前が、多くのEWCファンの間に、これまで以上に浸透した大会だったように思います。また、日本人ライダーを起用してもらえたらいいなと願っています。