オフシーズン振り返り企画第5回目も、2017〜2018年世界耐久選手権(EWC)開幕戦、フランス・ボルドール24時間耐久のお話です。

 EWCで取材をしていると、多くのチームが「鈴鹿8時間耐久ロードレースに出たい」と言ってくれます。日本人プレスへのリップサービスかなとも思いましたが、そうではなく、多くのチームやライダーが真剣に鈴鹿8耐への参戦を願っているのです。消防士チームの「Team 18 Sapeurs Pompiers」もそのひとつ。
 チーム代表のヤニック・ビュローさんは、奥様のマリーさん、11歳のレア、6歳のビクトリーのふたりの子供の父親。「家族全員レースが大好きなんだ。妻は下の子がお腹にいるときもレースを手伝ってくれていた。それで“勝利”という意味のビクトリーと名付けたんだ。いつか24時間耐久の表彰台に、子どもたちと一緒に登れたら最高だなと思っている。そして、一番の夢は鈴鹿8耐に行くこと。これはなかなか叶わない夢だけど」とため息をつきました。

 スタッフは全員がボランティア参加で、8割が消防士で、他はそれを応援する仲間たちが集まったチーム。日本でも筋骨隆々の消防士カレンダーが話題になったことがありましたが、フランスでは、一時的なブームではなく、女性の憧れを集める存在として人気があるようです。一緒に取材に出かけたプレス仲間が「フランスの消防士はイケメンが多く、すごくかっこいいらしいですよ」と耳打ちしてくれて、ぜひ取材しなければと思っていたのでした。

 結局、筋骨隆々イケメンかどうかは、ツナギとヘルメットに隠れて確認できなかったのですが、レースへの熱い思いは充分に感じました。
 この消防士チームは2000年に結成され、ボルドール24時間耐久に参戦開始。最初は本当に小さなチームで、自分たちの活動を知ってもらうために、交通安全のスクールを開催し、資金を集めていたと言います。

 消防士が交通安全スクール?と思われるかもしれませんが、ビューローさんは「消防士は火事だけでなく、交通事故の現場にも駆けつけるてレスキューする。だから、事故などの緊急時の対処方や、交通ルールを守ることの大切さを伝えるスクールを実施しているんだ」と言います。そんな地道な活動が、少しずつ認められて、フランスの消防士団体の公認チームとなり、フランス国内のバイク好きな消防士たちが応援してくれるようになったそうです。サポーター数は12000人と人気チームですが、それでも資金的な苦しさは変わらないと言います。だから、鈴鹿8耐参戦は叶わない夢となってしまうという訳なのです。
 ビューローさんは「最初のころは、EWCに出られたり、出られなかったり、スプリントのレースをしたりしていたが、レースで上手くいけば上位フィニッシュできるようになった10年前くらいから、鈴鹿8耐を走ってみたいと思うようになった。EWCを走っているみんなが、鈴鹿に行きたいと思っていると思うよ。だって、鈴鹿は特別だろ。出ているライダーが一流で、ファンの声援がものすごく熱くて素晴らしい。日本のモータースポーツ文化を感じることができる特別な場所なんだ。そして、厳しい。だって、EWCチャンピオンのGMT94だって勝てないだろう。そこを走るのはEWCのみんなの夢なんだ」と熱く語ってくれました。

 ボルドール24時間耐久では、決勝の雄姿を楽しみにしていたのですが、なんとスタート直後にトラブル発生で、コース復帰はならず。そのままリタイヤとなってしまいました。それでもビューローさんは「これもレース。また頑張るしかない」と自分自身に言い聞かせるように語っていました。そして「日本の消防士と協力して、鈴鹿8耐に参戦できたら最高だと思っている。ぜひ、そのことを伝えてほしい」と頼まれたのでした。
 ぜひ、日本のバイク好きの消防士がいたら、応援してあげてほしいと願っています。ぜひ彼らの夢を叶えてほしい。我こそはという方は、フェイスブック(https://www.facebook.com/team18.net/)から、コンタクトして下さい。よろしくお願いします。
2017〜2018年世界耐久選手権(EWC)開幕戦フランス・ボルドール24時間耐久(David・reygondeau)
2017〜2018年世界耐久選手権(EWC)開幕戦フランス・ボルドール24時間耐久(David・reygondeau)