2017−2018FIM EWC世界耐久選手権シリーズ第2戦ルマン24時間レースが4月21日、22日にフランス・ブガッティサーキットで開催され、TSRホンダフランスが優勝を飾りました。ルマン24時間耐久の歴史において、日本国籍のチームが優勝するという初の偉業を成し遂げたのです。

 日本メーカーが世界のモータースポーツ界を席巻しているように、日本チームは世界レベルのレースをしていますが、それでも世界で勝つことは難しい。そこには、モータースポーツ文化や歴史の厚い壁があるような気がします。特に24時間耐久の戦いは、その思いを強く感じる大会です。

 オープニングにフランス国歌が高らかに流れ、観客総立ち。当然ですが関係者もフランス人が多数で、誇らしげに国家を謳い上げるのです。これはフランスの国技なのだ、彼らの戦いなのだと感じさせられるのです。

 それでも、オールジャパンのライダー、スタッフで2013年に戦いを挑んだトリックスターは9位で完走を果たします。2015年はTSRが初挑戦し、3位表彰台を獲得。2016年〜2017年シリーズは、EWCの枠組みを変える大変革が行われ、鈴鹿8時間耐久が最終戦となり、日本でもEWCの存在が大きくクローズアップされるようになりました。
 昨シーズンは、トリックスターとTSRがフル参戦を開始。トリックスターはボルドール24時間耐久で出口修、井筒仁康、エルワン・ニゴン(フランス)が3位表彰台を獲得。ルマン24時間には、YARTヤマハから日本人ライダーの野左根航汰が参戦、2位表彰台に駆け上がり、注目を集めます。

 そして今シーズン、トリックスターは参戦を見合わせますが、TSRホンダは、ホンダフランスとコラボレーションして参戦。アラン・テシュとフレディ・フォレのフランス人にジョシュ・フック(オーストラリア)の3人組で挑みます。

 迎えたルマン24時間レースの予選初日は、暫定総合2番手。最終予選セッションには出走するだけでタイムアタックはせず、周回数も抑え、決勝だけを見据えた作戦で、最終グリッドは6番手。
 決勝では、昨年のEWCチャンピオンであり、昨年のルマン24時間、開幕戦ボルドール24時間の勝者であるGMT94(フランス)が王者の貫録を示してトップに立っていましたが、18時間経過を目前にマシンが大破し脱落。2番手にいたTSRホンダフランスがトップ浮上、そのまま悲願の優勝へと突き進み、そのままゴール。

 TSRホンダフランスは、日本とフランス、スタッフにはスペイン人もいて、多国籍ではありますが、表彰台の真ん中には、堂々と日の丸が上り、君が代が流れたのです。

 完走するだけでも涙があふれ、表彰台に立つだけても喜びが溢れますが、それでも、表彰台獲得と優勝の間には、大きな差があり、1位になった感動は別格なのだろうと、表彰台を見上げているだけでも伝わってくるものがあります。

 表彰台の上でインタビューに答えた藤井正和総監督は「パーァーと目の前が開けて、世界チャンピオンに挑むという、人生を賭けた夢が叶う醍醐味を味わえたような気持ちでいる。24時間には高い山があり、深い谷があり、これは8時間では味わうことができない戦いだ。それに挑戦し、国境を越えた仲間と勝てるということを証明できた。成し遂げることができた。それをフランスに伝えることができたことは、日本の誇りだと思う」と語っていました。

 今回わたしは、全日本ロードレース選手権とルマン24時間耐久の日程が重なり、現地に行くことができなかったので、日本で状況をチェックしていたのですが、ゴールの瞬間、大きく胸は高鳴り、思わず「凄すぎる」とガッツポーズ。そんなファンが、他にもたくさんいたのだと思います。TSRは、現時点のポイントランキングで暫定トップ。この後、スロバキアとドイツと8時間耐久を戦い、最終戦鈴鹿8耐に挑みます。ここで、世界チャンピオンを決めたTSRに特大の「おめでとう」の大合唱を贈れたら最高だなと願っています。