2018年WGP日本GP特別コラム(1)
 10月19日〜21日に、「2018 FIM MotoGP世界選手権シリーズ第16戦MOTUL日本グランプリ」が栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。モトGPのワイルドカードで、中須賀克行(37歳・ヤマハ)とシルバン・ギントーリ(36歳・スズキ)のふたりの参戦が早々に発表されていました。

 中須賀のワイルドカード参戦は2012年からで、今大会で7回目。代役参戦した2012年バレンシアGPでは、不順な天候を読みきり、2位表彰台に上がりました。

 ヤマハのモトGPマシンのテストライダーも担う中須賀にとって、日本GP参戦はテストの意味合いが強く、ライダーとして純粋に挑む戦いとは異なります。しかし中須賀自身は「世界最高峰の舞台で戦うことは、マシンの開発にとってライダーからの要望を理解するために重要。ライダーとしては、スキルアップにつながる」と語ります。

 日本GPでは、テストライダーとしてマシン開発の役割も担うため、他のトップライダーと同条件というわけにはいきません。実践ではまだ投入されていない先行パーツを確認のため使うこともあり、中須賀のマシンには海外からも熱視線が注がれることになるのです。
 一方ライダーとしては、最高峰のライダーたちと走ることで、意識が高まります。全日本ロードレース選手権で中須賀のチームチーム監督を務め、モトGPマシンの開発にも関わる吉川和多留監督(50)は、「モトGPマシンという最高のバイクを操ることで、中須賀のスキルは上がっている」と語ります。ヤマハの開発ライダーには45歳定年があり、吉川はテストから退いていますが、中須賀と一緒にマシン開発を進めている仲間であり理解者で、コーナーでのタイヤのつぶれ具合やアクセルの開閉、ブレーキングの強弱にいたる繊細なライディングの違いを検証し、中須賀の走りを熟知しています。

 その吉川監督が「今年の中須賀は、さらに進化している」と言うのです。
 昨シーズン、全日本ロードレースJSB1000クラスのV6、8度目のタイトル獲得を目指していた中須賀ですが、タイヤのホイールサイズが16.5から17インチへと変更されたことで、トップ独走中に転倒するなど、前半戦では大変苦しみました。後半戦ではしっかり対応して勝利を重ね、結果的に最多勝となりますが、タイトルは失いました。その悔しさは想像以上だったようで、オフシーズンのトレーニングでは自らを追い込み、鍛え抜きます。吉川監督は「顔つきも身体つきも変わっていた」と驚くほどで、全日本ロードレースでは、次々と自らのレコードを書き換え、更新しています。

 今年7月に開催された鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、決勝レース前日の土曜日にアクシデントで右肩を痛め、全治3ケ月のケガを負い、決勝レースは欠場しましたが、献身的にサポート役に徹してチームを勝利に導き、4連覇を達成します。

 続く全日本ロードレース第6戦もてぎ(8月19日決勝)に向けて、レース参戦を優先させるため右肩の手術を回避、痛みの残る身体で、本人も「勝てるとは思っていなかった」というレースでも勝利を掴みました。
 その後の全日本ロードレース第7戦オートポリスでも連勝を果たし、今季全9レースを消化し8勝と、ダントツのランキングトップ。日本GPにはケガから2ケ月が過ぎ、回復に向かっていることを願います。進化し続けている中須賀がどんな走りを見せてくれるのか、楽しみです。
 モトGPヤマハチームは苦戦が伝えられています。WGP第11戦オーストリアGP(8月12日決勝)では、バレンティーノ・ロッシ、マーべリック・ビニャーレスの予選結果(ロッシ14番手、ビニャーレス11番手)を受け、ヤマハのグループリーダー兼プロジェクトリーダーである津谷晃司氏が、ライダーに対する異例の謝罪会見を行いました。ヤマハ陣営がホームグランプリである日本GPで、どんな戦いを挑むのかにも注目が集まっているのです。