2018年WGP日本GP特別コラム(6)
 「2018 FIM MotoGP世界選手権シリーズ第16戦MOTUL日本グランプリ」(10月19日〜21日、ツインリンクもてぎ)に、全日本ロードレース選手権からモト3にワイルドカード参戦が決まった福嶋佑斗(18歳)は、全日本フル参戦2年目の期待の若手ライダー。

 福嶋の父雄介(42歳)さんは、1999年関東選手権GP125チャンピオンという経歴を持つバリバリのライダー。福嶋は「父は男の子が生まれたらバイクと決めていたみたいで、気がついたら乗っていた」と物心つく前からバイクにまたがっていたそうです。

 福嶋は、ポケットバイク少年たちのメッカ「千葉北サーキット」で走りはじめます。ここからロードレース世界選手権(WGP)チャンピオンに輝いた原田哲也や、同じくWGPで活躍した松戸直樹、中野真矢らが巣立ちました。福嶋はそこで「1000ラップはしたと思う」というほど走り続けたのです。

 多くの仲間がレースを離れて行く中で、「中学校、高校とバスケ部に所属していたけど、やっぱりバイクの方が楽しいと思うようになりました。最初は乗らされていたけど、自分がこうしたいと思ったようにバイクを操れるのは楽しい。理想通りにはいかないことも多いけど、自分の努力次第でタイムを縮められて、自分が向上したと感じることができるのがいい」と、バイク一筋に歩むことを決めます。
 2015年には、もてぎ選手権JGP3チャンピオンとなり、2016年にはSUGO選手権JGP3チャンピオン、もてぎではランク2位、筑波ではランク3位を獲得し、翌2017年には全日本ロードレースに昇格。

 2年目のシーズンである今年、目標である「WGPモト3ワイルドカード参戦」に向けて走り出しました。開幕戦もてぎ、第2戦SUGOを連続4位とポイントを獲得し、ランキング上位につけ、ワイルドカード参戦2名枠に入り、目標の出場権を得ます。

 それでも福嶋は「全日本で勝ってからワイルドカード参戦したい」と、日本GP直前の全日本ロードレース第8戦岡山国際では、ドライコンデションとなったフリー走行でトップタイムを叩き出して力を示します。雨の予選は3番手、決勝は台風接近で中止となり、残念ながらその願いは果たせませんでした。
 ただ、彼の所属する「プラスワン」は名門チーム。全日本トップライダーだった藤岡祐三がメカニックとしてライダーを支え、近年では2013年〜14年に山田誓己、2016年は徳留真紀がチャンピオンを獲得しています。ここのエースライダーに抜擢されているだけでも、福嶋の成長にどれほど期待が集まっているかが分かります。藤岡に福嶋のことを訊ねると、「良い時と悪い時の波が激しく、可能性は未知数」と言います。それでも日本GP参戦には期待していることが伝わります。
 福嶋は「モト3のレースは繰り返し何度も何度も見ます。レース展開を考えて、ここで仕掛けるんだとか、肘は擦った方がいいなとか…。モト3なら、ホルヘ・マルティンが好きです。ひとりでタイムを出せる強さがあって、バトルにも強いし、前に出たら逃げることができる。そんなライダーになりたいです。ひとつでもいいから、GP参戦で何かを盗みたい」と意気込みを教えてくれました。

 自分が良いなと思ったことは、すぐに試してみるのだと言います。そんなトライをしながら自分のスタイルを模索している途中で、波が激しいのは裏返せば限界が見えていないということ。どこまでも伸びる可能性を秘めているということでもあります。
 福嶋にとって、初めてのWGPは未知数の魅力であふれています。きっと厳しい現実を突きつけられることになるはず。それでも挑戦しなければ、分からないことがあるのだろうと思います。きっとかけがえのない経験を手に入れ、速さを磨いてくれるはず。18歳の挑戦をぜひ応援してください。