第42回鈴鹿8耐特集
 真夏の祭典「鈴鹿8時間耐久ロードレース」のレースウィークに突入しました。ドロップショット8耐特集の4回目は「au・テルル SAG RT」。全日本ロードレース選手権JSB1000クラスに参戦中の秋吉耕佑(44)、羽田太河(20)に、モト2の長島哲太(27)を加えた3人で参戦します。

 秋吉は過去3度の8耐優勝経験者で、JSB1000チャンピオンにも2度輝いた強者。昨年4月に行われた2&4鈴鹿の予選では、「Honda CBR1000RR SP2」という市販キット車で、2分6秒815を叩き出し、ワークス系マシンに割って入り、その力に誰もが驚愕しました。ワークス系ライダーは「もっと速く」と鼓舞され、プライベートライダーたちは「頑張れば、あの夢のようなタイムが出せるのだ」と希望を見たのです。「韋駄天」「宇宙人」と呼ばれる秋吉、いまだ健在、という出来事でした。

 秋吉は「20年前とウエイトも体力も何も変わってない」と、そのアンチエイジングをトレーニングで維持しているそうです。どんなトレーニングかは企業秘密とのことですが、たしかにその速さには陰りがありません。
 長島は当初、今年の8耐はホンダワークスライダーの候補としてオーデションで呼ばれました。これは、ホンダワークスが長島の力を認めたということ。ライダーにとって、8耐をホンダワークスで走るということは、とても名誉なこと。過去を遡れば、ロードレース世界選手権(WGP)の最高峰500のチャンピオンであるワイン・ガードナー、マイケル・ドゥーハン、現モトGPライダーのバレンティーノ・ロッシ、ケーシー・ストーナー、故ニッキー・ヘイデンという名だたるライダーがホンダワークスから参戦しています。そのトップライダーと長島の名が並ぶわけですから、もうファンとしては狂喜乱舞したわけです。

 ともにオーディションに参加したステファン・ブラドル(29)が2分6秒1、長島は2分6秒3と、タイムはほぼ、変わらず。長島は時差ボケや、アクシデントで走行時間も短く、決していい条件ではない中で同等のタイムだったのだから、これは長島有利!高橋巧、清成龍一、長島で日本人トリオが実現すると個人的に予想、願っていたのです。(決してブラドルが嫌いなわけではありません)

 ホンダワークスチーム内でも長島を推す声は多かったようですが、最終的にはブラドルに決定。個人的にはかなりがっかりしていたのですが、本人は「オーデションに呼ばれただけで光栄。また呼ばれるような走りがしたい」と前向きで大人な対応で、落ち込んでいた自分が恥ずかしかったです。

 長島を応援し続けている「au・テルル SAG RT」のオーナー中込正典社長も、長島のオーデション参加を応援してくれていたそうで、その心の深さにも感銘を受け、だからこそ受かって欲しかった…。

 ただ、「au・テルル SAG RT」にとっては、長島が加わってその力を発揮してくれることになったのは、喜ばしいこと。長島も「恩義のあるテルルで走りたい、恩返しがしたいという思いが強い」と語ります。
 もうひとりのライダー羽田は、アジアロードレース選手権(以下ARRC)SS600でタイトル争いを繰り広げてきた若手有望株。今年から全日本ロードJSB1000に参戦開始、8耐は初参戦です。秋吉と長島というメジャーライダーと組んでの8耐参戦に、明るく「頑張ります」と応える羽田は、この8耐で多くのことを学び得るのだろうと、楽しみです。

 今年からホンダのサテライトチームとなり、マシンのポテンシャルがアップされましたが、全日本ロード前半戦は、マシンへの深い洞察力を持つ秋吉をもっても調整に苦戦しましたが、ここ8耐では「やっとまとまってきた」と手応えを得て、勝負の時を迎えます。昨年はトップ10トライアルに残り、決勝でも4位を走行、もう少しで表彰台という素晴らしい走りを見せました。結果は、転倒アクシデントがあり39位でしたが、今年は「自力で表彰台」と目標を掲げています。上昇気流を掴めてほしいと願っています。