今週いよいよ新シーズン開幕!
2018〜2019年EWC最終戦・鈴鹿の表彰式
2018〜2019年EWC最終戦・鈴鹿の表彰式
 ひと雨ごとに寒さが増すようで、秋の風が吹いてきていますね。その前に、夏の思い出をコラムに更新しようと思います。今週末には2019〜2020年世界耐久選手権(EWC)の開幕戦がフランスのボルドールで始まります。

 2018〜2019年のEWC最終戦は、鈴鹿8時間耐久ロードレースで熾烈なタイトル決定戦が行われました。決勝レース後の裁定でドタバタとして、EWCのほうは何だか注目されることがなかったような印象で…。ですが、EWCチャンピオン決定戦もドラマがありました。

 最終戦鈴鹿8耐前のランキングトップは、ゼッケン11のSRCカワサキフランスで132ポイント(P)。ランキング2位はゼッケン2のスズキフランスで127P。次いでTSRホンダフランスがランキング3位、109Pという状況。

 ただ、最終戦はボーナスPがあり、通常の1.5倍となるため、TSRホンダフランスも優勝できれば大逆転の可能性がありました。

 そして迎えたレース本番、チェッカーまで10分を切ったところで、スズキフランスが9番手前後、カワサキフランスが13番手で、このままチェッカーを受けたなら、フランススズキが1P差で王座奪回を果たすという状況。

 フランススズキは、名物監督のドミニク・メリアン監督が今年の鈴鹿8耐で引退を表明、チームとしてはなんとしてもタイトルを獲得して送り出したい思いがありました。

 ですが、スズキフランスのマフラーから火が出て、急遽ピットイン。マシンを確認してコース復帰するも白煙が上がり、マシンストップ。その後も暗闇の鈴鹿サーキットには大粒の雨が落ちはじめ、残り一周かという時に、カワサキワークスのエースライダー、ジョナサン・レイが勝利目前で転倒します。レイの転倒を見たカワサキワークスのピットは失意に沈み、隣のSRCカワサキフランスのピットでは、スズキフランスのリタイヤでシリーズタイトル決定となり、歓喜に包まれるのです。
 レース展開を理解できなかった初観戦の友人は「どうしてカワサキが転んだのに、隣のカワサキの人は喜んでいるの?」と素朴な疑問を抱き、「何が起きたのか全く分からなかった」と素直な感想を口にしていた。

 決勝レースチェッカー直後は、リーダーボードからカワサキワークスが消えてヤマハファクトリーがトップと表示が変わり、プレスルームも大混乱。ヤマハファクトリー5連覇達成の表彰式が行われ、EWCのシリーズランキング表彰式も行われました。その後の裁定で、鈴鹿8耐の表彰台は無効となってしまいましたが、EWCの表彰台は正当なものでした。

 タイトルを得たSRCカワサキフランスは、ジル・ステファラー監督が2009年に立ち上げたチームで、チームとしては初の栄冠。SRCカワサキフランスは、EWCファンにとって有名なチームで、熱狂的なカワサキファンに支えられています。ルマン24時間とボルドール24時間をメインに戦い、実力もルマンでは6勝、ボルドールは4勝と折り紙付き。15回のタイトルを獲得を誇ったドミニク・メリアン監督率いるスズキフランスの最大のライバルでした。シリーズを戦うことがなかったためにタイトルには縁がなかったのですが、チャンピオンとなるために鈴鹿8耐に挑み、栄冠を得たのです。
 ステファラー監督は「カワサキワークスが優勝をして、自分たちがEWCで初めてのチャンピオンとなり、カワサキにとって、とても喜ばしい1日になりました。ライダーたちがこれ以上ないくらい頑張ってくれました。光栄です」と語りました。

 メリアン監督は鈴鹿8耐で引退、盛大なセレモニーが開かれました。ステファラー監督は「彼の率いるチームは強力で、勝つのは本当に大変だった。だからこそ勝てたことの喜びは大きい。監督として、とても尊敬していました」と言い、名物監督の引退を惜しみました。

 そして、新シーズンの開幕を迎え、カワサキフランスの新たな戦いが始まろうとしています。TSRホンダフランスもタイトル奪回を狙い、スズキフランスも新たな監督で挑みます。ヤートヤマハ、他、BMWにも参入。日本人ライダーは、大久保光、浦本修充らが参戦します。開幕戦でどのチームが先制攻撃を仕掛けることになるのか、注目です。