今年のロードレース世界選手権(WGP)もあと最終戦を残すのみ。ちょっと遅くなりましたが、日本GPでの話題を書きますね。

 いつもレースウィークの木曜日夕方には、注目選手が揃う記者会見があり、日本GPにかける思いを語ってくれます。今回の会見参加者は、タイトルを決めたばかりのホンダのマルク・マルケス、LCRホンダの中上貴晶、ヤマハのマーベリック・ビニャーレス、ドゥカティのアンドレア・ドビィジオーゾ、スズキのアレックス・リンス、そして成長著しいヤマハのファビオ・クアルタラロが参加しました。

 会見の最後には。ドルナ(プロモーター)に、レース以外の質問を聞くのですが、今回は選手に「ファンからもらって嬉しいプレゼントは?」という質問がありました。
 マルクは「日本のファンは、本当にたくさんのプレゼントをくれるんだ。その中でも、レプリカを作ってプレゼントしてくれたファンがいる。ものすごく精巧にできていて、素晴らしい。家に飾ってあるけど、他ではなかなかもらえないよね」と言うと、アンドレアは「そう、日本でしかもらえないすばらしいレプリカで、バイクだけでなく、スーツやヘルメットまでリアルに再現されている」と答えました。アレックスは「僕もハンドメイドの犬のステッカーをもらった。僕の犬の名前まで入っている」と言うと、マーベリックも「僕も犬の可愛いステッカーをもらった」と答えていました。
 ファビオは「僕は手作りのルービックキューブをもらったんだ。僕の顔が描かれ、ヤマハカラーですごく楽しい」と、ちょっと自慢気な笑顔を見せてくれました。
 中上は「日本のファンがくれる手作りのプレゼントはすごくて、どれが1番良いのか選べない。日本のファンは本当にバイクが好きなのだと感じることのできるものが多い」とまとめてくれました。

 こんなところにも、日本人の手先の器用さや繊細さが表れているのだなと感心した次第です。
 そして、人気急上昇のファビオは、パドックでは女性ファンに囲まれていました。「もてぎのコーストラックは大好き。ヤマハはポジティブで、ステップバイステップで進んでいる。結果を出したいけど、欲張らずにルーキーらしくベストを尽くしたい」と語っていました。もてぎ決勝レースで2位に入り、ルーキーオブザイヤーを決めたファビオは、いつも笑顔の好青年。チャンピオンのマルクもまだ若手ライダーだと思っていましたが、その下の世代にも新しい才能が育ち、モトGP界は次なる時代へと進んでいるのかもしれません。

 ファビオの優勝が待たれますが、もてぎ決勝レースの最終ラップ、最終コーナーのマルクの強さは筋金入りというか、鋼というか、太刀打ちできない強さで、ファビオが気の毒になります。ですが、なかなか勝てないところがまた、女性ファンの心を熱くさせるのかもしれませんね。

 会見後、その場に残っていた優しいスペイン人のおじさまジャーナリストが「去年のドビィジオーゾとの戦いで、最終コーナーで負ける悔しさを知ったマルクは、二度と負けないと誓った。そこから絶対に負けなくなったんだ」と教えてくれました。そう決めてもなかなか思い通りに行かないのが普通ですが、それを現実にしてしまうところが、マルクのマルクたる所以なのだなと、妙に納得したのでした。

 パドック券が売られているサーキットは珍しいようで、ライダーたちは多くのファンに会える楽しみもありますが、みんなの声に応えきれないときは申し訳なさそうでもあり、大変だなといつも思います。私たち取材陣も、こういった会見がライダーたちの肉声を聞くことができる数少ないチャンスで、予選後と決勝後の会見を除けば、各メーカーが指定した短い時間のうちにライダーたちの元に駆けつけて取材するしかなく、年々大変さが増しているように感じます。

 でも、近くで才能輝くライダーたちを見る機会があるのは、やっぱり役得ですね。最終戦ではどんなドラマを見ることができるのか、楽しみにしているのです。