EWC提供
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 2019−2020年世界耐久選手権(EWC)第2戦で、初開催となるマレーシア・セパン8時間耐久ロードレースが昨年12月に行われました。このセパン8時間耐久は、EWC最終戦・鈴鹿8耐出場のトライアウトも兼ね、優勝チームの周回数を基準に、85%以上であれば参戦権利を得ることができます。FIMとしては初開催となるセパン8耐のグリッドを埋める狙いがあったようですね。

 日本からは計10チームがエントリー。EWCフル参戦のTSR、鈴鹿8耐シード権を持つTONEを除く8チームが、鈴鹿8耐出場権の獲得を目的に参戦しました。


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#5 F.C.C. TSR Honda France
#10 KRP SANYOKOUGYOU & will raise RS−ITOH
#17 TEAM SUGAI RACING JAPAN
#27 TransMapRacing with ACE CAFE
#28 Team Kodama
#51 T.MOTOKIDS icu Takada I.W NAC SANYO
#69 Yamashina Kawasaki KEN Racing & Auto Race UBE
#73 TEAM PLUSONE JPN
#80 TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW
#88 Honda Asia−Dream Racing with SHOWA

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 鈴鹿8耐は、2015年からEWC最終戦として開催されるようになり、これまでの鈴鹿単独での真夏の祭典、バイクフリークのお祭り的なレースイベントから、よりプロフェッショナルな戦いへと変化。年々エントリーが難しくなる傾向にあり、本来トライアウトの対象となる全日本ロードレース選手権開幕戦・鈴鹿2&4と地方選手権の鈴鹿ロードレースを待たず、もっと早くに参戦権獲得を狙えるセパン8耐に参戦した、という背景があります。
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 鈴鹿8耐参戦権を得るという魅力があったとして、マレーシアで初開催となる耐久ロードレース。エントリーはどれくらい集まるのだろう?少ないのではないかと予想していたのですが、なんと50チームが参加。ピットはシリーズチャンピオンを狙うトップチームが揃い、本場欧州の耐久レースの雰囲気そのものでした。

 EWCは、市販マシンを決められた範囲で改造したEWCクラスと、より市販車に近いSST(ス―パーストック)クラスがあり、それぞれで順位がつきます。SSTクラスへの人気も関心も高く、そこで大きな注目を集めていたのはSSTクラス参戦のTONE RT SYNCEDGE 4413 BMW。リリースでも「SSTでは初戦ボルドールを制しているMOTO AIN(ヤマハ)と、2019年鈴鹿8耐でSSTクラスを制した(総合では14位)日本のTONE RT(BMW)の激走に注目したい」と言われるほどで、クアラルンプール市内をパレードするセレモニーにも選ばれ、大歓迎を受けました。

 初の海外レース参戦となるTONEは、昨年の鈴鹿8耐と同メンバーで挑み、監督は山下祐、チーフメカニック高村嘉寿、ライダーは星野知也、渥美心、石塚健で挑みました。高村メカは「本場のチームと、どこまで戦えるのか試したい」と言います。

 3人の平均タイムで争われる予選、石塚がチームベストを叩き出し、SSTクラストップタイムを記録。EWCクラスのポールポジション(PP)を記録したヤマハ・セパン・レーシングのモトGPライダー、フランコ・モビリデリ(イタリア)、ハフィス・シャーリン(マレーシア)、スーパーバイク世界選手権のマイケル・ファンデルマーク(オランダ)と並び、予選後のポールシッター会見にも出席。司会者から、雨の速さに定評ある星野は「レインマイスターの星野選手」と呼ばれるなど、大きな関心を集めていました。
EWC提供
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 迎えた決勝レース、雨予報の通り大粒の雨が落ち、スタートがディレイに。ようやく走り出した後も、セーフティカーが入ったり、2度の中断があるなど、なかなか本格的なレースが始められず、再スタート切られると実質3時間耐久レースに。

 強い雨が降り続け、再スタート早々にトップ争いのマシンが転倒するという波乱の中、星野も転倒を喫してしまいます。その後、5分のピットストップで渥美がコースインし、この時41番手。そこから渥美は素晴らしい追い上げを見せます。トップと変わらないタイムで周回、そのまま連続走行し、15番手まで追い上げるのです。

 そのままチェッカーが振られ、結果、SSTクラス優勝は総合でも4位に入ったMOTO AIN。TONEはSSTクラス3位を獲得し、表彰台に登りました。

 星野は「初の海外レースを経験することで得るものがあった」と手応えを得ました。渥美も「チャンスにつなげたい」という思いがあっての参戦、表彰台へと導いた走りは彼自身の評価を大きく上げました。石塚は、昨年CEV(旧スペイン選手権)モト2に参戦し、鍛えた力を示しました。山下監督は「世界で戦える手応えを得た」と語ります。高村メカは「海外で上がる日の丸はすごく誇らしいものと実感した」と語っていました。
 鈴鹿8耐でのSSTクラスの表彰式は、例年ピットエリアに設置した表彰台で行われていますが、今年はEWCクラスと同じ表彰台で行われるべきだと、3人の笑顔を見上げながら思いました。参戦した日本チーム全てが、トライアウト成功、鈴鹿8耐への参戦権を得ました。

 もう鈴鹿8耐の戦いが始まっているのだなと感じながら、真夏の祭典「鈴鹿8耐」のように、アジアのレースファンを集め、真冬の祭典「セパン8耐」として定着し、モータースポーツを一緒に盛り上げて行くことができたらいいと、どんよりと暗い空を恨めしく見上げながらも願ったのでした。
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