全日本ロードレースは、8月9日、10日の宮城県スポーツランドSUGOから始まる予定となっています。宮城県は緊急事態宣言が解除されましたが、首都圏などへの移動は31日まで引き続き避けるようにと呼びかけています。国内移動ができるようになれば、レース開催にも近づくことになります。それでも、まだ、確実なことはわからない。今季に賭けるアスリートたちにとって、辛い時期ですが、己の力を示したいという思いをぶつけられる日を信じて、日々を過ごしているのだと思います。
 開幕戦となる鈴鹿2&4に向けてのテストが行われた3月下旬には、JSB1000とST1000の主要ライダーが揃いました。08年以来、11年超しとなるフルモデルチェンジを実施したホンダCBR1000RR−R FIREBLADEへの注目度が大きかった。なんと言ってもトリプルアールですから、Rが三つもついているってことは?どんだけ速いの?特別じゃないの?って、なりますよね。エンジンは新設計され、160kW(217.6ps)/14500rpmの最高出力を達成。チタンコンロッドやアルミ鍛造ピストンなどの部品を採用しながら軽量化と高回転化を実現した、とリリースにありました。

 スーパーバイク世界選手権は開幕戦を終えていましたが、ワークスチームのマシンが出走、市販車を駆った高橋巧はリタイヤ。アジアロードレース選手権開幕戦もホンダの玉田誠監督チームは新型コロナウィルスの影響で、開幕戦マレーシアにスタッフが揃わずに不参加。市販車のCBR1000RR−Rのポテンシャルは未知数で、そのマシンが出走なわけですから、それは、どうなの?と視線集中でした。

 初日は、このマシンの開発を担った伊藤真一が率いるケーヒンホンダの清成龍一がホンダ勢、トップタイムを記録し「王者中須賀(ヤマハ)」のライバルとしての面目躍起。タイムは2分7秒台と、2分5秒台を記録しているヤマハファクトリーとは、歴然とした差がありますがシェイクダウンのようなものですから、初日としては、伊藤監督も合格点をつけており、今後への期待を抱かせることになりました。

 2日目にホンダ勢トップで2分7秒台を記録してトップに立ったのはハルクプロの水野涼です。次期ホンダワークスライダーとして、誰もが認めるライダー。昨年はヤマハの野左根航汰とともに中須賀、高橋巧へと迫りトップ争いを繰り広げ、そのポテンシャルを示した逸材。清成を尊敬していますが「初日のホンダトップタイムを清成さんに出されたのが悔しかった?」と聞くとうなずいて「悔しかった」と言ったのです。
 昨年は海外レースの視察に出かけ、今季はスキルアップのため海外参戦も計画していたようです。それも、この新型コロナウィルスが引き起こしたパンデミックで、先が見えません。それでも、いつもクールで、勝っても負けてもあまり感情の起伏が見えない水野が、昨年あたりから、ちょっと変わってきているかなと感じていました。海外進出の野望を抱き、さらなる進化を求める水野に、新たな魅力が加わったように思います。水野の躍進が、全日本の戦いを面白くしてくれそうです。
 今季から新設されたST1000にもフレッシュなライダーが揃い、この戦いも注目なのですが、このテスト、ホンダ勢トップは水野のチームメイト名越哲平でした。JGP250チャンピオンからのステップアップ。手元計測ですが、2分8秒台は名越だけ。名越は「茂木でのテストや、鈴鹿8耐の経験があったからで、まだまだ」と謙虚でしたが、新設初年度タイトルを狙ってのシーズンです。
 テストが終わった後に、水野が「SNSに載せたいから写真を撮って」といい、撮影会が始まりました。水野の黒バージョンツナギは、スペシャルだそうで「かっこいいね〜」とカメラマンから声も上がっていました。名越も参加し、ツーショット撮影会となりました。名越は、恩師でもある中野真矢ブランドの56デザインのモデルも努めていますから、撮影は慣れたものです。

 プライベートでも仲の良いふたりは、自分たちが育った千葉北サーキットにも顔を出してくれるほどの後輩思い。ポケットバイクやミニバイクをする子どものママたちが、ふたりが来ると「イケメンが来た」とキャーキャー歓声が上がり、喜んでくれるのだとと、千葉北の女性ライダーとしても活躍する石井千優ちゃんが教えてくれました。仮面ライダー出身俳優がスターダムを登るように、ふたりにもその魅力で、バイクブームを起こしてほしいなと願ったミニ撮影会でもありました。

 水野、名越が、ホンダのCBR1000RR−Rのポテンシャルを引き出す日が待ち遠しいです。