第332回
上位10台による最終予選「トップ10トライアル」で4年連続PPを獲得したFCC・TSRの辻村猛/伊藤真一組。ベストタイムは伊藤(写真)がマーク、通算6回目のPPを獲得、W・ガードナーを抜いて歴代単独トップに浮上。決勝でも8年ぶり3回目の8耐優勝を達成した
上位10台による最終予選「トップ10トライアル」で4年連続PPを獲得したFCC・TSRの辻村猛/伊藤真一組。ベストタイムは伊藤(写真)がマーク、通算6回目のPPを獲得、W・ガードナーを抜いて歴代単独トップに浮上。決勝でも8年ぶり3回目の8耐優勝を達成した
 アメリカGPから帰国。休む暇もなく、鈴鹿8時間耐久レースに出かけた。新幹線で名古屋へ。さらに近鉄に乗り継いで白子へ。あまりの暑さに、ピットに出るときのための靴をカバンに押し込み、サンダルを履いて出かけた。足元が開放されるだけで、ずいぶんと気分が変わるものだ。おまけに今回は時差との戦いもない。じっくりレースを見ることができるのもうれしい。

 そんな開放気分も手伝って、木曜日はグランドスタンドから最終シケイン、ヘアピン、そしてスプーンカーブまで、テクテク歩いて行った。さらに金曜日はサーキットの大観覧車に乗り、鈴鹿市内と伊勢湾を一望。その後、スタンドに腰掛けて予選を見ることにした。

 ウインターテストではコースに出て写真を撮り、草っぱらに腰掛けて選手の走りを見ることも多いが観客はいない。本番のレースでは、観客はいっぱいいるが、そんなことをしている暇はない。それが今回の8耐は、大勢の観客に混じってのレース観戦だった。

 グランドスタンドに座り、伊勢湾からの夏の風に吹かれて夏の高い青空と夏の雲を眺めながら、最終コーナーから駆け下りてくる選手たちの走りを見ていた。今年は連日35℃前後の猛暑。ただでさえ陽に焼けているタビビトだが、太陽の下にいたおかげで一段と真っ黒クロスケになり、「ああ8耐に来たんだなあ」と、うれしくなってしまったのだ。

 4時間耐久と、8時間のSPステージが行われた土曜日の夜には前夜祭が行われた。メーンステージのほかに、各チームが思い思いの出し物をするという企画は今年が初めてのようで、ピットロードは実にお祭りムードあふれるものだった。

 この2年間はWGPと日程が重なっていたために8耐に来ることができなかった。しかし、3年ぶりの8耐はセミの鳴き声で朝が始まり、コース脇を歩いているときも、セッションの合間の一瞬の静寂のときもセミの鳴き声が聞こえていた。一年中、海外を放浪しているタビビトにはたまらないニッポンの夏の風情であり、レースを見るという楽しさを改めて教えてくれたような気がした。

 肝心のレースは、序盤に有力チームが次々に脱落する波乱だった。スプリント的な戦いを要求される8耐は、ワンミスで優勝戦線から脱落する。チームはもちろんのこと、脱落したチームを応援しているファンにとっては、何ともあっけない終焉(しゅうえん)となる。これが例えば10時間、12時間になればどんなレースになるのだろうか。そんなことを思いながら、8耐はあっという間に終わってしまったのだ。

 今週は休む暇なくスーパーバイクの取材でイギリスへ。サンダル履きで出かけた8耐。タビビトにとっては、これがつかの間の夏休みだったのかもしれない。(えんどう・さとし=GPライター)

■2006年8月2日掲載



 F1ではマイルドセブン・ルノーが大活躍。鈴鹿8耐では2003年からセブンスター・ホンダが参戦したが、ヨーロッパのたばこ広告の規制で、日本たばこのモータースポーツ参戦は、この年を最後に終了した。セブンスター・ホンダは、04年に宇川徹/井筒仁康組、05年に清成龍一/宇川徹組が優勝した。
2006年8時間耐久の話題は、ヤマハのC・エドワーズ/芳賀紀行組。フリー走行、予選と大きな注目を集めたが、スタートを担当したエドワーズが、レース序盤に他者と接触転倒、再スタートするも結局リタイヤとなった。写真は玉田誠と芳賀紀行
2006年8時間耐久の話題は、ヤマハのC・エドワーズ/芳賀紀行組。フリー走行、予選と大きな注目を集めたが、スタートを担当したエドワーズが、レース序盤に他者と接触転倒、再スタートするも結局リタイヤとなった。写真は玉田誠と芳賀紀行
ホンダーワークスのセブンスター7号車は、清成龍一/玉田誠組は5位だった
ホンダーワークスのセブンスター7号車は、清成龍一/玉田誠組は5位だった
ヨシムラ・スズキの渡辺篤/青木宣篤組は3位。ホンダの表彰台独占を阻止した。写真は渡辺篤の走り
ヨシムラ・スズキの渡辺篤/青木宣篤組は3位。ホンダの表彰台独占を阻止した。写真は渡辺篤の走り
8耐恒例の「ノリックと親子でバイク教室」が2006年も開催された。8耐での開催はこれが6回目となり、8耐のイベントとしてすっかり定着した
8耐恒例の「ノリックと親子でバイク教室」が2006年も開催された。8耐での開催はこれが6回目となり、8耐のイベントとしてすっかり定着した