第343回
 8月中旬にスタートした9週連続の連戦が終わった。これより長くつらい連戦を何度も経験しているが、今回の連戦はなかなかハードだった。この3週間だけを振り返っても、イギリス〜フランス〜ポルトガルと車での移動だった。運転しているときは、それ以外に何もできないので、原稿仕事はたまっていくばかり。そして、どのカテゴリーも、最終戦決着のタイトル争い、もしくは終盤戦の天王山……というハラハラする戦いが続いただけに、面白いけれど気の休まる暇がなかった。

 今日は、エストリルからマドリードまで600km走ってきたのだが、ポルトガルとスペインの間には1時間の時差があって、1時間損をすることになる。ただでさえ時間の流れが早いような気がしているだけに、なんだか焦ってしまうのだ。

 マドリードに来たのは、来週のWGP最終戦バレンシアGPまでの1週間、この疲れた体を少しばかり休めるために、クルマを置いて帰国するつもりだったからだ。しかし、マドリードでは、予約しておいたホテルを見つけられず、ここでもまた、かなり時間をロスしてしまう。やっとの思いでたどり着いてシャワーを浴びようと思ったら、今度は水もお湯も出ないというトラブルに遭遇。

 「テクニシャンが来るのでもうちょっと……」が、いつまでたっても「もうちょっと」の状態が続き、疲れは倍増。空港に近いホテルなので、夜にチェックアウトしていく客も多く、夜12時になって部屋を代えてもらったが、次々に時間を無駄にする夜になってしまった。

 しかし、なにもかもが順調な旅は、なぜか記憶に残らない。今日の出来事は、それほどのつらさではないが、マドリードの思い出のひとつになったような気がする。

 こういう生活をしていると、順調でも悪戦苦闘でも、本当に時間の過ぎるのが早い。先日、ノリックが「初めてグランプリに来たときに5年のパスポートを取った。この有効期限が切れるまで走れたらライダーとして成功だと思っていたら、あっという間だった」と笑っていた。そして、2冊目の10年パスポートがもう少しで切れるという今年、海外フル参戦最後のシーズンになってしまったのだ。

 「あっという間だったね」というと、「本当ですね」とノリック。9週連続の転戦の中で、ノリックのフル参戦最後のレースを見られたのが何よりもの幸せだった。タビビト生活が始まって17年。そのうちノリックとは13年間の付き合いとなった。

 17年で13年かと思った。そういえばノリックのデビューシーズンのゼッケンは、恩師W・レイニーさんの「17」だったなあと、13年前をふと思い出してしまったのだ。(えんどう・さとし=GPライター)

■2006年10月18日掲載



 1999年10月24日のリオGPで優勝したノリック。日本と12時間の時差。変則スケジュールとなったこのGPは、500ccクラスが最初の決勝レースとなり、なんと、ギリギリに写真と原稿が間に合って、翌朝の新聞に掲載することが出来た。レースが終わって一時間くらいが過ぎたころだろうか。新聞のゲラをプレスルームにファックスしてもらい、ノリックに見せると、うわーと言って大喜び。これがそのときの記念写真である。それにしても、誰がシャッターを押してくれたのだろうか・・・。