第435回
モトGPに参戦するホンダ・グレッシーニからスーパーバイク世界選手権に参戦するアプリリア・ワークスに移籍した中野真矢は、バレンシアで行われた2日間の初テストに挑んだ。アプリリアがこのテストに登場させたRSV4は、市販車ベースとは思えない作りで、まるでモトGPマシンのようだった。このテストで好感触をつかんだ中野は、新天地でのチャレンジに闘志をかきたてていた
モトGPに参戦するホンダ・グレッシーニからスーパーバイク世界選手権に参戦するアプリリア・ワークスに移籍した中野真矢は、バレンシアで行われた2日間の初テストに挑んだ。アプリリアがこのテストに登場させたRSV4は、市販車ベースとは思えない作りで、まるでモトGPマシンのようだった。このテストで好感触をつかんだ中野は、新天地でのチャレンジに闘志をかきたてていた
 バレンシアのアプリリアテストとヘレスのモトGP合同テストの取材のためにスペインへ飛んできた。両テストの日程が重ならなかったのはうれしいが、4日連続のテスト取材のため、バレンシアが終わった日の夜に800km離れたヘレスに向けて走らなければならないという強行スケジュールである。

 バレンシアテスト終了は、火曜日の午後5時。取材して原稿を書き、写真を整理して送信を終えたのが午後8時のこと。休む間もなく地中海に沿ってクルマを走らせた。どこまで行けるか分からないが、とにかく眠くなるまで前進あるのみと夜の高速をひた走った。元気があれば7時間前後で走り切れる距離だが、1日の仕事を終えてからの夜の800kmはつらい。

 バレンシアからヘレスへ向かうにはムルシア−アリカンテ−グラナダ−セビリア−ヘレスというルートがもっとも近い。昼間なら素晴らしいアンダルシアの景色を堪能しながらのドライブとなるのだが、夜となればひたすら走るしかない。

 夜空には満天の星空…と言っても、何時間も見ていれば飽きてしまう。何で飛行機にしなかったのだといわれればそれまでだが、バレンシアからヘレスへ飛行機で移動するには午後2時にはサーキットを後にしなければならない。中野真矢のWSB初テストなので最後まで見届けたかったのだ。

 昔、バルセロナにアパートを借りていたころ、ヘレスからバルセロナまでの1200kmを8時間で走破したことがある。途中、ガソリンスタンドに2回寄っただけで、かなりのハイペースで走り続けた。それを思えば何てことない距離だが、何度も書いてきた通り、昔のスペインとは違い、今は120km/hで走らなければならず、なかなか前に進めない。

 午前1時。グラナダの手前で体力の限界に達した。外気温はマイナス1度。今回は寝袋がないのでクルマで仮眠する訳にもいかず、高速道路を降りて名も知らぬ小さな街にピットイン、1泊25ユーロ(約3000円)のホテルを見つけた。

 翌朝、ホテルのおやじに「インターネットできる?」と尋ねると「もちろん」と答えた。パソコンを立ち上げるとワイヤレスがつながっていて快適そのもの。シャワーも熱い湯が勢いよく出る。ベッドと小さなテレビがあるだけの安宿だったが、タビビトが必要としているものをすべて満たしてくれた。

 午前8時、東の空がぐんぐん明るくなってきた。雪をかぶったシエラネバダ山脈が見える。その壮大な景色は何度見てもうれしくなる。アンダルシアは、明るいときに通れといわれてるような気がして仕方なかったのだ。 (GPライター)

■2008年11月27日掲載



 2008年のこの時期は、まだリーマンショックの影響をそれほど感じることはなかった。しかし、じわりじわりとその影響が出て、年が明けた09年1月にカワサキが撤退を発表、グランプリ界を揺るがす事態へと発展していった。同じ条件で戦いたいという、まったく違う理由でモトGPクラスはBSの1社供給時代へと突入、ミシュランもパドックから消えていった。このころからグランプリは、コスト削減時代へと大きく転換していく。09年は、金曜日の午前中のフリー走行がキャンセルされることになり、ルーキーにとっては至難の時代を迎えることになる。
WGP250ccクラスでタイトルを獲得したM・シモンチェリが、アプリリアのスーパーバイクマシンに乗った。あくまでもチャンピオン獲得のご褒美だったが、2日目に37ラップをこなし、中野真矢の1秒落ちのタイムをマークして注目を集めた
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バレンシアのWSBアプリリアテストに続き、休む暇もなくヘレスへ移動。モトGPのテストを2日間取材した。このテストには14台が参加。最高峰クラスで6回目のタイトルを獲得したV・ロッシが、トップタイムでシーズンを締めくくった
バレンシアのWSBアプリリアテストに続き、休む暇もなくヘレスへ移動。モトGPのテストを2日間取材した。このテストには14台が参加。最高峰クラスで6回目のタイトルを獲得したV・ロッシが、トップタイムでシーズンを締めくくった
2009年からブリヂストンの1社供給となることが決まり、これがブリヂストン装着しての最初の合同テストだった。このテストにBSは、前後2スペックづつを持ち込み、ライダーたちの評価も上々。BS初ライドのJ・ロレンソは、09年型プロトタイプのYZR−M1のテストも行い充実の2日間だった
2009年からブリヂストンの1社供給となることが決まり、これがブリヂストン装着しての最初の合同テストだった。このテストにBSは、前後2スペックづつを持ち込み、ライダーたちの評価も上々。BS初ライドのJ・ロレンソは、09年型プロトタイプのYZR−M1のテストも行い充実の2日間だった
WGP250ccクラスから2009年にモトGPにスイッチする高橋裕紀が、モトGPマシンに慣れるための走り込みを行った。このテストでは14台中14位。チームからアタックを禁止されてのテストだったが、「アタックしてみたかった」と語っていた
WGP250ccクラスから2009年にモトGPにスイッチする高橋裕紀が、モトGPマシンに慣れるための走り込みを行った。このテストでは14台中14位。チームからアタックを禁止されてのテストだったが、「アタックしてみたかった」と語っていた