第437回
2008年のシーズンが終了した12月8日、250ccクラスの青山博一(左)、125ccクラスの小山知良(右)がKTMの撤退などでチームを離れることになったため、KTMジャパン主催のお別れパーティが開催された。席上、KTMジャパンのミヒャエル・シャノー社長(中央)は、「私はさよならを言うのが大嫌いなので、さよならはいいません。これからも永遠にともだちでいましょう」と粋なコメントを聞かせてくれた
2008年のシーズンが終了した12月8日、250ccクラスの青山博一(左)、125ccクラスの小山知良(右)がKTMの撤退などでチームを離れることになったため、KTMジャパン主催のお別れパーティが開催された。席上、KTMジャパンのミヒャエル・シャノー社長(中央)は、「私はさよならを言うのが大嫌いなので、さよならはいいません。これからも永遠にともだちでいましょう」と粋なコメントを聞かせてくれた
 タビビト生活で最もうれしいのは、訪れた先々で、時間を見つけて観光ができることだ。インターネットで”世界の何でもベスト3”という項目を検索していたら、自然と地形部門でベスト3に挙げられている自然や街をかなり制覇していることを知った。

 リオデジャネイロ、サンフランシスコ、シドニーが選ばれていた3大美港は完全制覇。3大夜景は乱立状態だったが、ナポリ、香港、函館、サンパウロ、サンフランシスコ、シドニー、ニューヨーク、ラスベガス、ロサンゼルスなどがノミネートされていて、これもまたほとんど制覇していることに、タビビトはひそかにうれしくなってしまったのだ。

 この世界のベスト3というのはきちんとした選考基準はなく、一般的に…という意味なのだろう。実際に、ええっ、これがベスト3なの? と首をかしげてしまう項目もたくさんあったが、あらためて、いろいろなところを訪れてきたのだなあと思った。

 しかし、最も不満だったのは、どの項目にも東京がノミネートされていないことだった。常々、東京の夜景はなかなかではないかと思っているし、次の選考会? ではぜひとも東京を入れてほしい。僕の住む横浜も忘れてもらっては困るという気分だった。
この会には両選手の家族も招待されたのだが、小山知良の父・国夫さんがノリノリ。サーキットでも大漁旗で応援する国夫さんだが、この日も会場を盛り上げていた
この会には両選手の家族も招待されたのだが、小山知良の父・国夫さんがノリノリ。サーキットでも大漁旗で応援する国夫さんだが、この日も会場を盛り上げていた
 そんなことを調べ始めたのは先日、KTMが主催した「青山博一、小山知良、両選手の壮行会」で東京湾を水上バスでクルージングしたときに、東京の夜景の美しさをあらためて感じたからだ。日の出桟橋を出港して東京湾から東京の夜景をじっくりと見せてくれる2時間コース。東京都観光汽船の「ヒミコ」という水上バスはなかなかカッコ良かった。

 案内を読むと「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などの原作者である松本零士さんがプロデュースした未来型水上バスだと書かれていた。子供たちが乗ってみたいと思う船、座ったまま360度見渡すことができることをコンセプトに造られたらしい。その「ヒミコ」から見る巨大都市東京の夜景、特にライトアップされたレインボーブリッジはなかなかのものだった。

 そんな夜景に感動しつつ、船内で行われた2人の日本人選手への感謝と激励が込められた壮行会もにぎやかで楽しかった。オーストリア本社の決定で250ccチームの撤退が決まり、青山博一は来年ホンダチームへ移籍する。小山知良も残留かなわず中国の「ロンシン」へ移籍する。しかしこういうかたちで選手を送り出せることに感激してしまった。

 世界のベスト3にノミネートされてもいい東京の夜景と、タビビト生活でベスト3に入れてもいい心温まる壮行会。あっという間の2時間だった。 (GPライター)

■2008年12月11日掲載



 リーマンショックの影響で、125ccクラスはこれまで使用してきたワークスマシンをプライベートチームに貸し出してレース活動を続行。250ccクラスは完全撤退することになったKTM。小山は「ロンシン」への移籍が決まっていたが、青山博一は、この会の席上、ホンダのスコット・レーシングへ移籍することを公表した。これはシーズン終了後の青山博一のインタビューだが、「どんな体制でも250ccで必ずチャンピオンになる」という見出しが、翌年の活躍を占っていた。それにしても、この日のお別れ会は、実にこころ温まるものだった。