第24回
 僕の活動をずっと支えてくださっているモンベルさんからのお誘いで、鳥取県の大山で行われたスポーツ・イベント「皆生・大山 SEA TO SUMMIT」に参加した。SEA TO SUMMITは海抜0mから山頂を目指すアドベンチャー・レースで、シーカヤック・自転車・登山で、米子市皆生温泉の海から大山の山頂を目指す。距離はシーカヤックが約7.5km、自転車が約23km、そして登山が4kmと短いが、標高差約1700mを一気に登る挑戦だ。

 『海から山頂へ』というダイナミックさと『海から発生した水蒸気が山で雨になって川へ流れる自然循環を感じ、自然の大切さを考える』という趣旨に心を動かされ、しばらく遠ざかっていた山にも足を踏み入れた。

 最初のシーカヤックは全くの初心者なので前に進むだけで一苦労。あっという間に置いていかれ、格闘した末にほぼビリで何とか岸にたどり着いた。その遅れは自転車で挽回(ばんかい)し、この区間はブッチギリで1位。最後の登山は大勢の皆さんと一緒に中国地方の最高峰である大山の頂上を目指した。

 そして、総合結果はなんと3位。地元の大山ハムや地ビールなどの豪華賞品をゲットかと思いきや、ぼくはゲストなので賞典外。残念ながら賞品はなかったけど大山に登ったことで、長く地元で続く環境保護活動「一木一石運動」を知ったことは大きな収穫だった。

 「一木一石運動」は年々増加する登山者に踏み荒らされ、保水力を失って崩落が進みつつあった大山の山頂を修復する運動。山から崩れた石を登山者がひとつずつ山頂に持って上がり、その石で崩れた場所を補修する。1人の力は微力だが、継続は力なり。木道の整備と合わさって、着実に効果が出てきていると聞いた。

 確かに山が崩れていくのは仕方がない。しかしそれを加速させたのは僕たち人間だ。そして自分たちが壊したものを自分たちの手で修復するのは当たり前のこと。そんなことは誰もが分かっているが、当たり前だから実際に継続するのは難しい。でも皆でやれば大山のように成果が出る。

 僕はせっかくだからと大きな石をリュックに詰めて頂上に置いてきた。その時、日本初のSEA TO SUMMITが大山で開催されたことの意味が理解できた。1人ひとりの行動がどんなに大切か。待ったなしの地球温暖化対策も同じことだ。「自分の始末は自分でしなさい」。鳥取の名物は「ゲゲゲの鬼太郎」だけじゃなかったよ。(レーシング・ドライバー&冒険家)