第26回
 多くの方々の協力をいただいて開催している「片山右京チャレンジ・スクール」は、相模原市の旧藤野町がメーンの会場になっている。都心から中央高速を使えば1時間足らずで到着できる場所なのだが、なぜか知名度は低く、ゴルフをするにしてもキャンプにしても、わざわざ藤野に来る人は少ない。

 多くの人がちょっと足を延ばして富士五湖あたりに行くか、逆により近場の相模原市周辺を選ぶのだろう。そして富士スピードウェイからの帰りに東名高速道路や246の大渋滞を避けて道志峠を使う人も、この町は素通りしてしまうようだ。

 そのおかげといえるのか、藤野は大規模なリゾート開発や箱物建設の波から逃れ、都心から近いわりに豊かな自然が残されている。相模湖や奥相模湖があり、ほとんど手付かずの山林も多く残っている。

 ここでカート・スクールをやっていると、ウグイスのさえずりが聞こえ、草木の香りがする。湖畔のキャンプ場は夜になれば本当に月明かりが美しく、キャンプ・ファイアーが終わって空を見上げると、無数の星がまたたいている。少しもやのかかった湖面を見ながら吸い込む朝のひんやりとした空気は、体の隅々までシャキッとさせてくれる。キャンプ場での朝の食事が格別にうまいのも、この素晴らしい景色のおかげだ。

 そんな素晴らしい環境がそろった藤野は、僕のチャレンジ・スクールの場として申し分ない。いろいろと場所を探していた僕らの趣旨をご理解いただき、地元の方々が快く迎え入れて下さって今のチャレンジ・スクールがある。今度は僕たちがこの町に恩返しをしていかなくてはと思っている。

 僕が夢見ているのは、「自分たちで考えて地元の力でやる町おこし」。たくさんの税金を使った大きな公共事業に頼るのではなく、小さいことから始めてそれを少しずつ大きくしていきたい。

 そのためには物を作るのではなく、もともとあるものを生かすことが大切。たとえば“脱石油の暮らし”は、都心から1時間の自然の中でやることに意義があるはず。そういう、小さいけど未来につながる環境プロジェクトをいつか自分のライフワークにできたら素晴らしいと思う。

 ほぼ毎日のように大垂水峠経由で自転車で行く藤野。ここで始めたチャレンジ・スクールを起点として、いろいろな夢が広がっていく。

 でもまずは自分たちで考えて行動できる規模で物事をやっていこう。巨大な資金投下がなくても、自分たちの手でやれば魅力あることが実現できるはずだ。(レーシング・ドライバー&冒険家)