第115回
 昨シーズンのスーパーGTのGT300クラスチャンピオン獲得でエンジン性能調整を背負っている僕らは、スピードで勝つことができない。タイヤ、戦略、そしてチーム個々人の力を結集することで勝負をしている。

 今回の第3戦のセパンでは、0号車(谷口信輝/片岡龍也組)はタイヤ無交換作戦を採って表彰台を狙った。そして、4号車(番場琢/佐々木雅弘組)は初ポイントを獲得して、ライバルチームのポイントを奪うことが使命だった。しかし、現実は厳しい。0号車は最終ラップで2位を走りながらチェッカーを受けられず、ノーポイント(12位)。4号車は10位で初ポイントを獲得したが、これは0号車の脱落によるもので全く満足いかない。本当に残念でしかたがないレースだった。

 タイヤ無交換作戦は、ドライバーにとっては大きな負担だ。高い集中力を途切らさず、冷静な判断と繊細なコントロールが必要とされる。谷口と片岡というベテランだからこそ可能な作戦で、2人ともよくやった。作戦としては成功だったと思う。そして、メカニックやエンジニアも、ロングランを意識したマシン作りに頑張ってくれた。にもかかわらずトラブルは起きてしまった。急激な燃圧の低下。タンクの問題なのか、それともセパンの高温のために発生したパーコレーション(燃料パイプ内でガソリンが気化してエンジンが止まること)なのか? 原因追及はこれからだが、いずれにせよ詰めが甘かったということだ。

 性能調整でスピードのない僕らがタイトル争いをするには、取りこぼしは致命的だ。常に上位にいて、勝てる時は確実に勝ってポイントを積み上げなくてはいけない。なのに、ノーポイント。その結果も悔しいが、全員が頑張った結果だったという事実がつらかった。

 頑張っているのに結果が出ないというのは、F1の小林可夢偉も一緒だ。チームメートのペレスよりも速く走り、レース中のペースも悪くない。なのに、終わってみればペレスに先を越され、カナダGPでもチームメート2度目の表彰台を祝福する立場になった。これは心中穏やかでない。ただ、一体どうしろと言うのか? 今回もそうだが、チームがタイヤ戦略を可夢偉とペレスで分ける時、可夢偉がハズレを引くことが多い。もし、ペレスと同じ順番でタイヤを使っていれば、表彰台には可夢偉が立っただろう。流れが悪い。僕らのチームは、第2戦の優勝から今回はリタイアノーポイント。つまり、天国から地獄。そして、チームメートに後れを取った可夢偉の試練。どれもこれも流れが悪い。流れは自分で変えるしかない。そんなことは重々承知。そのためにみんな頑張っている。頑張っているから悔しいし、ショックも大きい。でも、確実にみんな成長している。前に進んでいると信じている。(Team UKYO代表)