第123回
 東日本大震災以降、自然に東北方面に出かけることが増えた。他の地域にも行きたいのはやまやまだが、可能な限り復興に携わりたいという思いで、足が向かってしまう。先週は、スポーツ観光大使という大任を仰せつかった裏磐梯の福島県北塩原村を訪問した。

 北塩原村は人口約3200人の村。裏磐梯ということで夏は登山客、冬はスキー客でにぎわい、大学の運動部が合宿で利用するスポーツと観光の村だ。天然温泉が湧くこの地は、たしかにスポーツにうってつけだ。そして、その温泉資源を利用してできる「山塩」は特筆すべき名産。温泉地では海が無いのに塩が取れるのだ。このうま味たるや絶妙の極みで、この「山塩」で作った「山塩ラーメン」を食べた。飽きのこない味とはこのことで、普段こってりした濃い味のラーメンを食いつけている胃袋が、ほっと一息ついたようだった。僕らの仲間内では「ラーメン通」で通っているチャレンジスクール林教頭が、毎日食べたほどだ。

 実はこの村に、僕たちの農園がある。600坪程度のささやかな畑だが「右京農園」と名付けて大根やカボチャを栽培している。もちろん僕らは毎日面倒を見られないので、村の方々の協力を頂きながらだが、訪問した時は僕やスタッフ全員で農作業に汗を流している。形や名前だけの農園ではない。ゆくゆくは耕作面積も増やして加工品を作って、地元の経済に貢献するつもりだ。その皮切りに、9月2日にこの村で行うヒルクライムイベントでも、この畑の収穫を販売して売り上げを100%地元の復興に充てる計画だ。

 農作業を終えて、その畑でもいだトウモロコシを食べてみた。地元の方に勧められるまま生で。「トウモロコシを生で?」と最初は思ったが、これが驚いた。シャリシャリとした食感。そして、口の中いっぱいに広がる爽やかな甘み。聞けば、その糖度は15〜16%もあるらしい。本当においしいトウモロコシは、生で食べられることを初めて知った。

 「右京農園」は檜原湖という湖のほとり。一日の農作業を終えて夕日で空が赤く輝くと、そこから一気に夕闇に包まれる。まるで誰かが部屋の照明のスイッチを押したかのようだ。そして、満天の星の第二幕が開くと、主役のカエル達がゲコゲコ大合唱。うるさいけどストレスはたまらない。コンビニまで行くにも車で20分もかかるような土地だが、都会の喧騒(けんそう)に疲れたらこんなナチュラルでスローな暮らしも良いものだ。(Team UKYO代表)