第125回
 モータースポーツはドライバー、クルマ、タイヤ、チーム、天気、ライバルとの位置関係などいろいろな要素が絡むスポーツだ。だから、結果だけでクルマやドライバーのポテンシャルを語ることは危険だ。勝つ時も負ける時も、当事者しか分からない、または当事者もすぐには理解できない何かが作用していることが多々ある。まさに、先週末の富士スピードウェイ(スーパーGT第6戦)の僕らがそうだった。

 0号車はウエートが重くスピード不足のため、苦しいレースになると予想していた。しかし、タイトルを考えると、可能な限り大量ポイントが必要。そこでスピードではなく、タイヤ無交換と燃料節約でピットストップ時間を短縮する作戦をとった。

 この作戦のためには、まずドライバーの高い技量が必要。そして、チームの技術力も究極のものが要求される。9月だというのに暑さが厳しく、消耗という意味でリスクが高い。それでも、僕らはこの作戦で行ける力があった。

 レース中、0号車の谷口/片岡のタイヤマネジメントはGTドライバーの中でも超一級だったと思う。難しい作戦をよく実行してくれた。そして、4号車も不運なペナルティーが無ければ上位に食い込めるペースだった。しかし、結果は0号車が8位。タイヤ交換ありの作戦をとった4号車は11位だった。つまり最高の闘いをしたが、結果はついてこなかった。

 F1ベルギーGPとイタリアGPの小林可夢偉も同じようなことが言える。可夢偉は決して遅いドライバーではない。闘争心も十分にある。スパではフロントローにマシンを並べ、モンツァではQ3に進出。勇気と繊細なマシンコントロールが要求される高速サーキットで示したスピードは、本物のF1ドライバーの証明だ。しかし、終わってみれば2レースとも表彰台に届かなかった。

 チームメートのペレスと比較する時、結果で語ることは簡単だ。しかし、何か釈然としないものがある。あんなに可夢偉が負けるわけがない。何かが違う。それが何なのかは、僕らには分からない。マシン? 作戦? 流れ? 可夢偉自身の問題? 可夢偉もチームも多くを語らないし、映像から得られる情報は少ない。でも、少なくとも可夢偉は全力で闘っている。それだけは確かだ。

 冒頭でも述べたがモータースポーツはいろいろな要素が絡む。結果だけでは語れない。そして負けた人間は、マイナス要素をひとつひとつ潰(つぶ)して次に備える。僕らのレースは残り2戦。可夢偉もいよいよ後半戦。あきらめないで信念を持って頑張ろう。そうすれば、何かつかめるはずだ。(Team UKYO代表)