第129回
 どの分野にもパイオニアがいる。そして、そのパイオニアが開拓した道を足がかりに後に続く者が思いを引き継いで、大きな夢が達成されていく。歴史はそうやって作られていく。

 先週、日本人のF1初優勝を「F1に関わってきた日本人の夢」と書いたが、鈴鹿での可夢偉の表彰台は、その可能性を感じさせるのに十分だった。もともと、チームメートよりもスピードはあるわけで、流れの悪さやツキの無さで結果が出なかっただけ。

 今回もレース中のペースはマクラーレンのバトンやフェラーリのマッサと互角。しかも、レース終盤のバトンの追い上げに対してスパートをかける余力を残していた。もしベッテルとマッサに、「崖から落ちる」と言われるピレリタイヤのグリップダウンのような何かが起きれば、本当に勝つことも有り得た力強いレースだった。

 流れさえ良ければ、表彰台に登れることは証明された。可能性というやつも見えた。憑き物も取れただろう。そして残り5レースもある。今回の3位はほんの入り口だ。まだ行ける。

 日本人の若者の活躍は可夢偉だけではない。テニスの錦織圭選手がツアー2勝目を挙げて世界ランク15位になった。そして彼の得意技「エアK」は世界的だ。テニスのことは素人だから詳しくはないが、彼の今の活躍が多くの日本人選手たちの歴史の上にあることも確かだ。プロ選手第一号の神和住純選手、錦織選手の師でもある松岡修造選手、そして戦前にも日本人選手の輝かしい歴史がある。

 サッカーも同じだ。ヨーロッパが地の果てのように思えた僕が子供の頃、ドイツで奥寺康彦選手がプレーしていた。その後、多くの選手が海外で高い評価を得てきた。そして、世界で最も過酷と言われるプレミアリーグの扉を稲本潤一選手が開き、今年は香川真司選手がマンチェスターでプレミアリーグのピッチに立っている。

 これらは、日本人が積み上げた歴史だ。負けた試合もある。志し半ばで世界という舞台を去ることもある。でも、どの先人達の闘いも決して無駄ではない。ひとり一人の努力が日本人のポジションを作り、その思いが引き継がれて今日がある。

 僕は国粋主義者ではない。でも、日の丸を背中に感じて闘っただけにナショナリズムは強い方だ。だから、日本の若い人が世界で闘う姿には強烈にエールを送り、活躍からは大きな勇気を感じる。そんな若者に僕も負けてはいられない。日本を元気にするためにまだまだ頑張ろう。鈴鹿の感動の余韻が残ったこの頭で、そんなことを思った。(Team UKYO代表)