第131回
 10月19日から22日までの4日間、クラシックカーイベントの「ラ・フェスタ・アウトゥンノ」が開催された。この大会はイタリアの「ミッレ・ミリア」の日本版とも言えるもので、去年までは大会名も「ラ・フェスタ・ミッレ・ミリア」だった。今年からコースが東北地方から関東に移ったことで大会名も変わったが、16年目の伝統ある大会。このレースにモラスティというクルマを駆って参加して、久しぶりにクルマの楽しさを満喫してきた。そして同時に、クルマが単なる工業製品の域を超えて、芸術や文化なのだとあらためて思った。

 そもそも集まったクルマがすごい。全てが僕が生まれる以前に造られたクルマで、ほとんどのクルマが手作り。ボディーの板金はもちろんのこと、エンジンも細かいパーツまで含めて職人の手による仕事だ。今のクルマのように電子制御やパワステ、そしてブレーキアシストも無く、まさに人間が操るマシンとして造られている。それが故にドライバーとクルマの間に対話が要求される。始動時にはちゃんとチョークを引いてやって、暖気もエンジン音や排ガスの色などで様子を見ながらだ。その日の気温や気圧によってエンジンの調子が変わるから、アクセルの開け方を変える必要性がある。考えてみれば、僕が子供のころにおやじが乗っていたクルマもチョークが付いていたから、クルマがキーをひねれば簡単に走る道具になったのは最近のこと。クラシックカーは手がかかるが、全身の神経を使って対話する分、操る喜びが大きいように思った。

 実際のところ僕が乗ったモラスティは1959年製で、イタリアのモラスティさんというお金持ちが注文して造ったワンオフのスポーツカーなのだが、馬力は60馬力しかない。上り坂は息をつくような感じで、アクセルをうまく使ってガスの濃さをコントロールしないと速度を保てない。今のクルマで言うエンジンの電子制御を、自分の耳と足と目でやっているようなもの。逆に富士スピードウェイを走ると、わずか400kgという重量が生きてきて、Vitzレースなどのナンバー付きレース車両よりも速いラップタイムが出る。当時のスポーツカーに対する思想というか割り切りというか、そういうものを感じた。まさに芸術だ。

 そして、沿道の皆さんの応援。クラシックカーが珍しいということもあるが、老若男女、とくにご年配の方と子供たちからの声援を多く感じた。大会に出た人も、沿道の人も、そして昔むかしに手をかけてクルマを作った職人も、みんなクルマが好きなんだね。「ラ・フェスタ・ミッレ・ミリア」。これからも長く続けて欲しいし、また機会があれば参加してクルマと遊ぶ喜びを感じたいものだ。(Team UKYO代表)