第137回
 黄旗追い越し騒動が決着し、晴れてベッテルの最年少3年連続王座が決定した。そこで、今季のF1の主役(王者)達を総括しよう。

 混戦でスタートした今季のF1だったが、シーズンが進むにつれて主役が絞られ、チャンピオン経験者達による見応えのあるレースが続いた。そういう中で、王座を守ったベッテルの才能は、マシン性能を差し引いても際立っている。若いチャンピオンだけにいまだに成長していて、集中力やタフな状況でも負けない強さはさらに印象的になった。特にシーズン中盤にアロンソにポイントで先行されてからの逆転劇は、相手がアロンソということを考えても、この若き王者が速さだけでなく強さを備えたように感じる。

 敗れた方のアロンソだが、「王者にふさわしい戦いをした」と世界中の誰もが認めたと思う。戦闘力が劣るマシンで気が付けばポイントリーダーとしてシーズンを牽引(けんいん)。チームメートさえも使ってポイントを奪うその闘いは、やれることは全部、いや…やれること以上を全部やったと言える。アロンソもベッテル同様に若くしてチャンピオンになった選手だが、円熟期でありつつ成長し続けている。来シーズンもまた主役のひとりになるだろう。

 あまりメディアでは取り上げなかったが、ライコネンも数字上は終盤までタイトルの可能性があった。抜群の安定感でポイントを重ね、アブダビでは復帰後初勝利。見事なカムバックイヤーだったと思う。その安定感の元がクリーンでフェアなバトル。チームメートとは対照的に、サイド・バイ・サイドでは必ず相手のスペースを作り、仮に互いのホイールがかみ合うような体勢でも接触しない。無線やコース外での発言からワイルドで我がままなイメージがあるが、実際のレースは美しい。若いドライバーはお手本にしてほしい。

 タイトル有力候補かと思われたマクラーレンの2人は、マシンの信頼性不足に足をすくわれた。それでもバトンの優れた判断力や、ハミルトンのスピードは今シーズンも際立った。

 一方で去るものに厳しいのがF1。2度目の引退を決めたミハエルは輝くことなく今季を終えた。ただこれで彼の栄光が地に落ちるわけではない。誰もが史上最強と認め、稀有(けう)の存在であることは変わらない。

 そしてご存じのように、この6人の王者達と時には互角に闘った可夢偉のシートがまだ決まらない。「日本人F1優勝」の夢をつなぐ存在、そしてF1を20年以上開催してきた日本の代表である日本人ドライバーの灯を絶やしていけない。そのみんなの思いが募金の大きな金額になっている。今は見守るしかないが、僕らは応援を尽くして来季も可夢偉がF1のグリッドに並ぶと信じよう。(Team UKYO代表)