第140回
 今年は僕も50歳になって半世紀を生きてきたことになる。経験を積んでいろいろなことが見えてくる半面、体力はどうにもならない。ただ年齢的に中途半端だから、イベントでの扱いが微妙だ。たとえば、昨年11月のJAFグランプリのレジェンドカップのような場だと若輩者なのに、12月22日の土曜日にあったグッドスマイルレーシングのカートイベントでは現役同様の扱いになる。そのギャップのせいか、レジェンドカップで「まだまだ俺も行けるな」と思っていたのが、カートイベントではペシャンコにつぶされてしまった。

 とはいえ、自分の子供と変わらない年端の選手たちとレースをして、コーナーを曲がる都度その背中が離れていく感覚は悪くない。アジア諸国の中で最も長い歴史を持ち、20回以上もF1グランプリを開催してきた日本のモータースポーツのバトンが、確実に引き継がれていると感じるからだ。とはいえ、最近のモータースポーツ界の状況が苦しいのも現実。われらが小林可夢偉の今季シートは未定。そして、F1を目指して夢を見ている少年たちの現実も厳しい。僕の周囲にも才能豊かなカート少年たちがいるのだが、苦境に立っている選手もいる。

 ある選手は能力に見合った結果を残せず、自信喪失気味だ。真面目な選手ほど結果を素直に受け止めて悩むのは分かる。でもそんな事で気持ちが折れるなら、それが一番の弱点だ。もっとずうずうしく生きなきゃ。良い時も悪い時もあるが、うまく行かない時が自分の実力だと考えて、徹底的に一層の努力をしてほしい。別の選手はステップアップする資金が集まらない。こちらはさらに深刻だ。上に行けば行くほど、この問題は大きくなる。自分の努力だけでは何ともできないが、諦めてはいけない。

 そんな少年たちを見るにつけ、半世紀生きてきたおじさんは思う。人生は長い、ほんの入り口でへこたれてんじゃない! そもそも、君たちはまだ何の勝負もしていない。サスペンションがついたマシンに乗ってからが勝負。そして、F1だけがプロではないし、レースだけが人生ではない。選択肢はたくさんある。何かひとつうまく行かなかったからと、あきらめて逃げるのは早計だ。

 偉そうなことを書いたが、土曜日のカートイベントではウエット路面でスピン。日曜日のマラソン大会も足を痛めてしまった。でも、今年50歳を迎える僕ですら頑張ろうと思っているのだから、未来のある君たちにはもっと頑張ってほしい。勝負はこれからだ。応援しているよ。 (Team UKYO代表)