第144回
 チーム右京のスタート当初から約10年続くこのコラムを、今週でいったん終了することになった。毎週原稿を書くという作業は大変だったが、月曜日に内容を考えて火曜日に書き、水曜日に納品するサイクルは僕の生活の一部になっていた。パリダカの現場やヒマラヤのベースキャンプ、アジアクロスカントリーラリー、南極に行く途中のチリのプンタアレナス、福島や宮城の被災地からも原稿を送った。まさに世界中で僕はこの原稿を書いた。実は今も仕事でスペインにいて、最終回の原稿を書いている。どうやら、このコラムは最後まで外で書くようだ。

 そういえば、僕がフランスで武者修行していたころの某雑誌のコラムは、FAXで編集の人とやりとりして書いていた。食うにも困るくらいだったから国際電話の料金は懐が痛んだ。でも、今はインターネットがある。もちろんお金はかかるが、昔とは桁が違う。便利になったものだ。

 さて、そんなことを思いながら古い原稿を読み返してみたのだが、本当に10年の間に折に触れていろいろな発言をしている。日本人F1ドライバーへのエール、パリダカで見てきたアフリカ、テントの中で風雪を一晩しのいで命からがら下山したこと、登頂目前で断念したエベレスト、自転車旅行で出会った人たち、チャレンジスクールでの出来事。時には、社会や自分の周囲にいる少年たちへのメッセージも書いた。

 まさに僕の10年間の歴史や足跡。その週に起きたことや感じたことを1000文字に凝縮させる作業は、僕自身が心の中に向き合うことであり、吐露した言葉を未来へ向けて整理することだった。だから、周囲に向けて発したはずの言葉は、実のところ自分自身に向けられていたのだと、今さらながらに思う。まるで僕自身が強くあるために、毎週1000文字という宿題があったようなものだ。

 ありがとう。読者の皆さんに恵まれたおかげで、長きにわたって自分の言葉をつづることができた。今後はもしよければ僕のFacebookを見てもらえたらと思っている。僕の思いや日々の出来事をつらつらと書いています。

 最初の原稿を書いたころに比べると、世の中は大きく変わった。次の10年で世の中はどうなっているだろうか? 僕は信じている。小さな一歩でもあきらめないで毎日進んでいれば、何かが達成できる。笑われるかもしれないが、腕立て伏せを1時間に12.5回やると8時間で100回になる。一気にはできないが、少しずつなら夢に到達できるのだ。先が不透明な昨今だが、前を向いていればきっとうまくいく。だから再びこの紙面で会える時、僕もみなさんも少しずつ夢に近づいていると思う。(Team UKYO)=終わり