今季初、バトンと別タイヤ採用
第10戦フランスGP編
タイヤのタレと闘いながらバリチェロ、トゥルーリらとバトルを展開した琢磨(カメラ=松本浩明)
タイヤのタレと闘いながらバリチェロ、トゥルーリらとバトルを展開した琢磨(カメラ=松本浩明)
 K・ライコネン(25)=マクラーレン=の繰り下がりで4番グリッドと、今季最高のスターティング・ポジションを得て期待された佐藤琢磨(28)=BARホンダ=だったが、レースでは2度のコース・アウトを喫して、結局11位フィニッシュ。チームメートのジェンソン・バトン(25)が4位に入って今季初ポイントを獲得したため、入賞していないのは琢磨だけとなったが、焦りはなし。戦闘力を増したマシンで戦える手応えをつかんだだけに、今週のイギリスGPに期待を膨らませていた。

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 ――スタートの1コーナーでバリチェロ(フェラーリラリ)にちょっと遠慮したように見えたのですが

 佐藤琢磨「そうじゃなくて、バリチェロの方が全然勢いがあった。出だしはボクも悪いとは思わなかったけれど、その後の伸びが違いました。バリチェロの方が伸びが良かったので、オープニング・ラップからしょうがなくフェラーリ2台について行く形になってしまった」

 ――1回目ピット・ストップの後、バリチェロに追い付いて22周目のアデレード・ヘアピンでインを突いて見事にパス! すぐに5番手トゥルーリ(トヨタ)に追いつき、27周目、再びアデレード・ヘアピンでインを突きましたが……

 「精いっぱいトライをしたんですけれど止まり切れなくて、真っすぐ行っちゃった(笑)。スリップストリームに入っていたし、グングン車速も伸びててあの時が一番トゥルーリに近づけて、いいチャンスだと思ったので行ったんですが、インに飛び込んでフルブレーキングした瞬間にリアが落ち着かなくて、ダウン・シフトもうまくいかなくてタイヤがロックし、横に滑って止まり切れなかった。あのころからリアのグリップ感がなくて、リアが先にロックして流れて止まらなかった。失敗でしたね」

 ――決勝が思惑通りに運ばなかったように見えた原因は?

 「タイヤのグリップがなくなりました。最初はグリップ感もあり、ファースト・スティント(ピットインとピットインの間の走行のこと)はペースも悪くなく、レース序盤はそれなりにバトルもあって良かったと思うんですが、20周目以降はリア・タイヤのタレ(グリップ・ダウン)が大きくなってグリップ感がなくなりました。摩耗そのものは悪くなかったんですが、食いつきが悪かった」

 ――今回ミシュランは2種類のタイヤを準備。バトンはハード、琢磨さんはソフトを選んだわけですが、チョイスは正解?

 「クルマとのマッチングの問題もあって、金曜日に走った時はボクのマシンはこっちの方(『オプション』と呼ばれるソフト・タイヤ)が感触良かったんです。ミシュラン側は摩耗についてはまったく問題ないと言っていて、2種類のタイヤはほとんどイコールということで選ぶのは難しかったのですが、ボクのタイヤの方がグリップ感があった。BARホンダとしては今回初めて2台のタイヤを分けたのですが、他のチームも分けたところがあったらしいです。似通ったタイヤでしたが、ボクが選んだタイヤは今日はうまく働かなかった」

 ――金曜日から何が変わったんでしょう?

 「気温です(金曜最高25度→日曜最高33度)。この熱が大きく影響したと思います。金曜の時点では、決勝がここまで暑くなり、後半になるにつれてタイヤがどんどん厳しくなるというのは見えませんでした。こればっかりは、ちょっと残念」

 ――区間タイムを見ると高速区間のタイムが伸び悩んだようですが

 「ターン2で全然クルマが曲がらなかった。高速コーナーでアンダーステア(曲がりづらい状態)に悩まされたのですが、フロント・ウイングを上げられないんです。というのも中速から低速にかけてトラクションかからなくて、ブレーキング・スタビリティー(安定性)に悩んでいたので。タイヤの内圧を調整したりしたんですけど、フロント・ウイングを上げられなかったので、バランスが悪かったですね」

 ――レース終盤に前車がコースオフしてまいたグラベル(小石)を拾ってコースオフ。ハンドリングが悪くなったのでは?

 「常に良くはなかったのですが(笑)、完ぺきではなかったですね。スピードも伸びなかったし。大きなダメージはなかったと思います」

 ――クルマは良くなってますか?

 「ニュルブルクリンク(ヨーロッパGP)よりは進歩した。北米ラウンドのポテンシャルをそのまま引き継げたかどうかは分かりませんが、スピードは見せられたと思うのでこの調子を維持していきたいです」

 ――今週末はチームの母国グランプリのシルバーストーン

 「マニクールでは予選は良かったので、シルバーストーンもまず予選で頑張って、今度こそ決勝で今季初ポイントをとりたいと思ってます。応援してください!」(聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)