悪夢の補給システム・エラー
第15戦イタリアGP編
無念のピットイン。なぜ琢磨だけがこうも不運に見舞われるのか……(カメラ=松本浩明)
無念のピットイン。なぜ琢磨だけがこうも不運に見舞われるのか……(カメラ=松本浩明)
 今季ベスト・タイの4番グリッド。佐藤琢磨(28)=BARホンダ=は絶好のポジションからレースに臨み、スタートでは出遅れたものの、すぐに4番手の位置を取り戻し、期待を持たせる走りを見せていた。だが、またもやアクシデント。燃料の計器のエラーで、しなくてもいい再ピットインをすることになり、あとはボロボロだったという。いったい琢磨に何があったのか。

           ◇     ◇     ◇

 ――序盤4番手を走りながら給油装置のトラブルで下位転落。惜しかった

 佐藤琢磨「なんと言ったらいいか……」

 ――スタートはどんな状況でした

 「動き出しはよかったんですが、ボクの方はダスティー・サイドということで滑りやすく、加速がいまいちでトラクション・コントロールがかかりっぱなしの状態。クリーン・サイドから来たトゥルーリ(トヨタ)に1コーナーまでに先行されました」

 ――ワン・ポジション落として5番手

 「後ろからシューマッハー(フェラーリ)が来てしきりにアタックされたのですがこれは抑えて、バックストレッチ前のアスカリ・シケインで前にいるトゥルーリの動きをうかがい、スリップストリームに入ってパラボリカ進入でアウトから抜き返しました」

 ――見ているこっちはちょっと手に汗握りましたが

 「チャンスだ、行けるッ! と思ってました。あそこでいかないと」

 ――その後は1分24秒台前半から23秒台に入るぺースで走行

 「ちょっとタイヤが滑る感じはありましたけど、バトンと一緒にいい感じでレースできてました」

 ――その後16周目に最初のピットインをして、給油は8.5秒という短いロス・タイムで戦列復帰。ここまではよかったんですが、翌周バトンの後にすぐまたピットインして来たのにはビックリ!

 「給油して出て行ったのですが、チームから『もう1回ピットインだ! 燃料が入ってないのですぐ戻って来い!』という無線が入ったんです。ショックでしたが、ガス欠にならないようゆっくりピットに戻って来るしかなかった」

 ――この時もロス・タイムは8.5秒でしたが、ガソリンが入ってなかった?

 「いや、給油孔からあふれるくらい入っていました。ボクの給油装置はシステム・エラーが出てしまって、入っているのか入ってないのか分からず、それで2回目以降の給油はバトンのものを使ったようです」

 ――ガソリンが噴き返すということは満タン。燃料タンクに約90kg(約110リットル)ほどのガソリンが入ったことになりますね。普通は60くらいですが

 「だからクルマがすごく重くて、ピットアウトしてからはドライビングがつらかった」

 ――不測のピットインで16番手までドロップ。ラップ・タイムも1分25秒台までダウンしてしまいました

 「重いクルマを無理にドライブしてるわけですからタイヤを傷めてしまって、それが響いてパフォーマンス・ダウン。最後はタイヤがズルズルで、精いっぱいトライしてはみましたが特にリア・タイヤがきびしかったですね。なにしろクルマが止まらない、曲がらない、進まない。アスカリ・シケインやパラボリカはフラフラでした」

 ――対策は?

 「3回目のピットインでフロントのフラップを下げたりはしたんですが、もう左後輪は壊れかかってましたね」

 ――そういえば、そのピットアウトでウェーバー(ウィリアムズ)と並走しましたね

 「ああ、あれ。ありましたねぇ(笑)。2人同時にピットインして、ボクがピットアウトしたら目の前にウェーバーが出て来た。ピット・レーンが狭いので『通れるかな?』と思ったんですが、ピット・ロードが終わってからはイチ、ニッ、サンの加速勝負。1コーナー手前の本コース合流で仕切りの白線を踏んだのは分かったんですが、状況が状況だけにFIA(国際自動車連盟)もちゃんと見てくれてるだろうと気にしませんでした。ウェーバーとはお互い幅寄せもしなかったし、クリーンなピット・レーン・バトル(笑)でした」

 ――今回はトラブルもなく、金曜日〜土曜日と最高の流れで来ていた

 「それだけに予選の結果が決勝につながらず残念でした。5日後のスパ・フランコルシャン(ベルギーGP)はモンツァよりウイング・レベルも上がるし、ユニークなサーキットです。また頑張ります、応援してください!」(聞き手=モータースポーツ・ジャーナリスト・西山平夫)