疾風怒とうのカナダGP編
過激なパフォーマンスが賛否両論だが、雑音は聞こえない?我が道をいく琢磨(カメラ=松本浩明)
過激なパフォーマンスが賛否両論だが、雑音は聞こえない?我が道をいく琢磨(カメラ=松本浩明)
 今回も無念の結果に終わった佐藤琢磨(27)=BARホンダ=だが、相変わらず話題性はNO・1で、一人でカナダGPを盛り上げた感がある。予選ではポールを狙ってスピン。17番グリッドになったため、ピットスタートを選んで決勝に臨んだら、いきなり多重クラッシュの大渋滞が待っていた。そして、自身もコーナーに突っ込んでスピン。それでもメゲずにプッシュしたが、最後はまたもやエンジンブローで3戦連続のリタイア……。疾風怒とうのモントリオール始末記を聞いてくれ!

■オーバーステア

 ――惜しかった予選の後、マシンを換え、エンジンもフレッシュなものに積み替えてピットスタートを選びました。

 佐藤琢磨「予選が終わった夜にいろいろシミュレーションしてみて、最初は3ストップ作戦でしたが、2ストップに作戦を変えました。それに17番グリッドからスタートするより、ピットロードからスタートした方が2コーナーにつながるのでロスが少ないということで、ワクワクしながらスタートを待ってたんです」

 ――もくろみ通りかと見えたんですが、2コーナーで多重アクシデントに遭ってしまいました。

 「ピットロード出口で事故が発生していて、スリ抜けられずに立ち往生してしまいました」

 ――すぐにマシンの間を縫うようにして現場を抜けましたが、序盤はペースが上がりませんでした。

 「ポイントゲットするにはポジションアップが必要でしたが、たしかにペースは上がらなかった。具体的な原因は分かりませんが、燃料をいっぱい積んだことでクルマのバランスが崩れたのかもしれません。低速コーナーでオーバーステア(リアタイヤの横滑り)がひどかったですね」

 ――オーバーステア対策は?

 「ピットストップの時にフロントウイングの角度を小さくしたんです。でも、新品タイヤに履き替えた直後にマシンがひどくナーバス(過敏)になる。しばらくするとそれが薄れるんですが、ピットストップの前にはまただんだんオーバーステアになるんです。レース後バトンに聞いたら、彼もそういう傾向があったようです」

 ――42周目のヘアピンでパニスをオーバーテークしようとしてスピン!

 「内側に入っていったんですが思ったより路面が汚れていて、スピンしちゃいました。タイヤがゴミで一瞬黄色くなったほどダスティーでしたね」

■やり直しですね

 ――その周に2回目のピットイン。

 「予定より早かったんですが、スピンしましたから。その後タイムロスをばん回しようとまた追いかけ始めて、ポイント圏内も見えてきつつあった」

 ――残り24周で10位まで来ましたが、49周目にエンジンブロー。場所は?

 「3コーナーに向けて加速していく途中で、ギアは4速。2002年に(ジョーダン・ホンダで)ブローしたのとほぼ同じ場所ですね。何の兆候もなく、突然でした」

 ――エンジンが原因のリタイアは、これが8戦して5回目……。

 「今回のエンジンは信頼性をアップしたものと聞いてたし、事前のシルバーストンテストでも感触は良かったのでショックです。ホンダのエンジニアの方も苦しいと思うんですが、まずは原因を究明することが先決でしょう。ひょっとしてエンジンと関係ないところのトラブルかもしれませんしね」

 ――レース中に壊れる前兆はなかった?

 「ありませんでした。レース中はミクスチャー(空気と燃料の混合比)をいじって、前を追うときはパワーベストに(燃料を濃く)、前車の後ろについた時はリーンに(空気を多く)してセーブしてましたが、なんのトラブルも出ていなかった」

 ――今回もバトンのエンジンは大丈夫だった。

 「このレースではバトンのトラクション・コントロールのマッピング(制御の仕方)を、ボクのものと同じにしてたんですけどね」

 ――ホンダのエンジニアの方も琢磨選手のエンジンだけが壊れるのは「ミステリー」だと言ってます。次のインディアナポリスは?

 「モントリオールのコースとは特性が違うわけですが、もう1回やり直しですね。ファンの皆さんの応援を期待しています!」

  (聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)
おかげで人気抜群。大ブレークの予感さえ漂ってきた(カメラ=松本浩明)
おかげで人気抜群。大ブレークの予感さえ漂ってきた(カメラ=松本浩明)