■みんなに感謝
――おめでとう、ついにやった! 初表彰台。
佐藤琢磨「ありがとうございます。待ちわびたリザルトです。まず最初に、応援してくださった多くのファンの人たち、支えてくれたチームのみんな、エンジニア、ホンダの栃木研究所の皆さんに感謝したいと思います。ファンの声援を受けてエネルギーをもらって最後まで気を抜かず戦うことができました。本当にありがとうございます」
――いったい何台抜いたんですか?
「いっぱい抜きましたねえ(笑)」
――表彰台に立った気分は?
「それは最高の気分でした。2001年のマカオ以来ですし、夢にまで見たF1の表彰台ですから格別です」
■第1ステップ
――攻めましたね。
「ラッキーではなく実力でもぎ取った表彰台だったのがうれしい。でもうれしいのはうれしいんですけど、いざ3位になってみると面白くないっていうか(笑)、もうちょっと……(上に行きたい)という気持ちになってきました。これを第1ステップに頂点を目指すきっかけにしたいですね」
――レース中のタイムが速かったし、安定してました。最速ラップタイム(1分10秒727)もフェラーリに次いで3位ですし、1分10〜11秒台でコンスタントに周回できていたのはトップ3台だけでした。
「ピットアウトして来たシューマッハーに少しずつ追い付いていたし、ルノーより速かったし、価値ある1戦だったと思います。安定したタイムで走るにはメカニカルセッティングが大事なんですが、チームと開発してきたセットアップがここにきてようやく決まってきましたね。予選も決勝も他のミシュラン(タイヤ)ユーザーをリードして北米2連戦を終えられたのはうれしいですね」
■ヘルシーな音
――一番心配だったエンジンは?
「最高の音でしたよ。ヘルシーな音で(笑)、パワーもあったし、レスポンスも良かった。とにかく(エンジンブローの)原因はこれなんじゃないかというのを徹底的にツブして来て、最終的にこれでトラブルが解消できたなら大きなステップです。またここからホンダエンジンも攻めていくと思うので、ボクも一緒に攻めたいですね」
――完走したいと言ってました。それが果たせました。
「これは大きいですね。ただ完走しただけではなくて、クルマも良かったし、戦ったし、オーバーテークもできたし、楽しかったし、いいレースだった」
――シーズンインして9戦目。長かった?
「そうですね。くしくも折り返し点。だからこそこの勢いに乗って今後も戦っていきたい。そういう意味で大事なレースでした」
■独自のライン
――表彰台に乗ったことでインディアナポリスのサーキットに対する印象は変わりました?
「大好き、大好き(笑)。インフィールドのバックストレートに入って行く走行ラインがみんなと全然違って、立ち上がりがすごく良かった」
――トゥルーリを抜いて3位に戻ってからチェッカーまでの間もペースが落ちなかった。
「エンジンの回転数を抑えていたわってはいたんですが、タイヤが減って中だるみがあって、またグリップが戻ってくる。その戻り方がキレイで、無理しないでもいいペースで走れたんです」
――シューマッハーを抜くとしたらどこで?
「チャンスがあればどこでもいきますよ。1コーナーでも4コーナーでも、どこでも」
――大事なレースだったけど守らなかった?
「守ってない、守ってない! リスクを負うことはしなかったけど、トゥルーリが(ウェーバーのまいたオイルを懸念して)アクセルをリフトした(緩めた)時、ボクは全開でバンクに入っていった。なんでアクセルをリフトしたのか分からなかった(笑)」
――また今日のようなレースを期待します。
「水曜日からヘレスでテストです。そこでまた新しいセットアップを見つけられたらフランス〜イギリスの2連戦が楽しみになります。3位の次を目指して戦います。ぜひ応援してください!」 (聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)
■視聴率も倍増
21日未明にフジテレビ系で放送されたF1アメリカGP中継が、この時間帯では異例の高さとなる平均視聴率4・6%(関東地区、ビデオ・リサーチ調べ)を記録した。昨年(2・2%)と比較すると倍以上にまでに伸びており、瞬間最高視聴率も5・9%。日本人として14年ぶりに表彰台に立った琢磨の効果はしっかりと表れたようだ。
この4・6%はゴールデンタイムで換算すると25%近くに相当する数字で、フジテレビの渡邉信治プロデューサーは「琢磨選手が表彰台に上がったレースを中継できたことをうれしく思う」と喜んでいた。