怒り心頭ベルギーGP編
ウェーバーの行為と、その後の態度に憤る琢磨(カメラ=松本浩明)
ウェーバーの行為と、その後の態度に憤る琢磨(カメラ=松本浩明)
 雨でタイムが伸び悩んだ予選。チームメートのジェンソン・バトン(24)は12番手、佐藤琢磨(27)も15番手とBARホンダはそろって苦しいグリッドになった。しかし、スパフランコルシャンはオーバーテーク可能なコース。逆転を期して、ドライになった決勝に臨んだ。だがスタート直後、1コーナー過ぎの混戦で、ウイングを失ったマーク・ウェーバー(28)=ジャガー=に追突されて、あっという間にレースを終えてしまった。やり場のない失望と怒りに満たされる琢磨が本音をさらけだす――。

■0周リタイア

 ――予選15番手のスタート位置はストレートへ出て行くゆるい右コーナーのアウト側でした。

 佐藤琢磨「そうです。しかも1コーナーに向かって上り坂になってますから、スタートしたら一瞬“カニ走り”のようになっちゃった(笑)」

 ――路面は汚れてた?

 「サーキットクリーナーを使って水を吹き付けブラシで掃除してくれたみたいで、そうでもない」

 ――今回のスタートは加速も悪くなかった。

 「ウィリアムズと一緒くらいだったし、前にいたクリエンより加速がよかったのでパスして1コーナーに向かい、ブレーキをうんと遅らせてピッツォニアとモントヤのインを差して抜いた」

 ――ずっとインをキープ。

 「そう、アウトに多くのマシンが固まっていたので1コーナーのインをコンパクトに回ったんです。外側の方はゴチャついていて、ここでザウバー勢も抜いてコーナーを立ち上がった時には8番手だったと思うんです」

 ――7台のゴボー抜き!

 「下り坂をオールージュに向かうと前が完全にクリアじゃないですか。これはイケル!と思ってアクセル全開で突っ込んで行きました」

 ――その時点での順位はルノー2台、クルサード、シューマッハー、ライコネン、バリチェロ、ウェーバー、そして琢磨選手。

■アクセル全開

 「そう。そしてウェーバーはフロントウイングを失っていたんですよ。ところがスローダウンしているのにレーシングラインのド真ん中を走っていてどこうとしない。こっちはよけてくれるものだと思って全開で行ってましたからあわてて急ブレーキを踏みました。100km/hくらいのスピード差があった。すぐに坂をフルスロットルで駆け上がりながら、ウェーバーを右サイドから抜きにかかったんです」

 ――そのさらに右横にモントヤが来てました。

 「ボクがブレーキを踏んだので追い付いてきたんですね。モントヤはコースとエスケープエリアを分ける縁石に乗ってましたよね」

 ――2台一緒にウェーバーを抜いた。

 「視界がクリアになって、モントヤにはいったん抜かれるかもしれないけどスリップストリームを使って抜き返せばいいやと思っていたら、後ろからドーンと衝撃があって、一瞬マシンが浮きました。もうどうしようもなかった。ウェーバーがボクの左リアに突っ込んできたんですね。まったく見えなかった」

 ――1周もしないでリタイア……順調なら3位もありえた。

 「荒れたレースになったわけですけど、そういう時にいけなかったのは悔しいですね」

 ――このアクシデントでセーフティーカーが出動しましたが、いっそ赤旗中断の方がよかった。

 「ボクもすぐに無線でチームに『レッドフラッグ!』と叫んだ。赤旗だったらスペアカーで再スタートできた」

 ――アクシデント後、ウェーバーと話しました?

 「ええ、パドックに帰る時オールージュのゲートのところで会ったから。そしたら『フロントウイングがなくてどうしようもなかった』の一点張り。どうにかしようがあったですよ! ちょっとおかしい」

 ――ウェーバーはGPDA(グランプリ・ドライバー協会)の会長です。怒りが収まらない?

 「収まらないも何も、この件は次のドライバーズ・ブリーフィングでも言うし、チャーリー(ホワイティング=FIAレースディレクター)にも言います」

 ――BARは今季初の無得点でした。

 「そうですね。ただ、直接対決しているルノー、ウィリアムズも無得点でしたから、打撃は少ない。31日からモンツァ・テストに向かいます。1カ月半の夏休みで、テストがやりたくて仕方なかった。メーンはエンジンテストですが、空力やタイヤのテストもあります。応援してください!」(聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)
予選では失敗したが、ドライの手応えは良かったBARホンダ(カメラ=松本浩明)
予選では失敗したが、ドライの手応えは良かったBARホンダ(カメラ=松本浩明)