激闘の最終戦ブラジルGP
シーズン最後の記念写真。あれれっ、 王者M・シューマッハーの席には、ジャガーのスタッフが持ち込んだロバの人形が……。隣の琢磨もこのいたずらには苦笑い(カメラ=松本浩明)
シーズン最後の記念写真。あれれっ、 王者M・シューマッハーの席には、ジャガーのスタッフが持ち込んだロバの人形が……。隣の琢磨もこのいたずらには苦笑い(カメラ=松本浩明)
 2004年の総決算。6番グリッドを得た佐藤琢磨(27)にとってブラジルGPは確かにチャンスだった。BARホンダのマシンは2台そろって好調。表彰台、ひょっとしてその真ん中……と夢は膨らんだ。だが、僚友ジェンソン・バトン(24)が早々とエンジントラブルで姿を消し、琢磨一人にコンストラクターズ2位確保の重責がのしかかった。雨のためタイヤチョイスも難しくなったレース、それもウイナー経験者らとの接近戦が続いた。古傷の右肩も痛んだ。しかし、その苦しさに耐えて6位フィニッシュ。見事に仕事をこなしてみせた。インテルラゴスの激闘の内幕は――。

■ドカンとやりたかった

 ――スタート直前30分くらいから雨が降ってきました。

 佐藤琢磨「そうですね、シャワーが来たのでタイヤをウエットでいくか、ドライにするのかずいぶん迷いました。フォーメーションラップ開始2分前に強く降ってきたし、すぐにやむ気配がなかったので、ウエットのままいくことにしました」

 ――スタートは?

 「そう悪くなかったと思いますが、1コーナー進入で3台並びましたね。内側にアロンソ、外側にトゥルーリ、真ん中がボク」

 ――オープニングラップはモントヤに次ぐ6位で戻って来ました。

 「そのうちバトン、マッサに追いついたのですがウエットタイヤでの走りは苦しかった。スタートしてすぐにドライになったのでビックリですよ。結果的に早い時期にピットに入ってドライタイヤに換えたわけです」

 ――5周目にドライタイヤに換えて、その後は5位で前にラルフ、後ろにバリチェロのフォーメーション。

 「タイヤのグレイニング(めくれ摩耗)がきびしくて、リアタイヤがグリップダウンを起こし苦しかった。でもドライタイヤでの2スティント目は悪くなかったと思います。1分13秒台から12秒台に入って、最後は11秒台に行った。あのペースを2ストップ作戦でドカン、ドカンとやりたかったんですけどね」

 ――そういう意味ではつくづくスタート前の雨がうらめしかった。33周目の1コーナーでバリチェロに先に行かれました。

■優勝経験者との接近戦

 「ボクのミス。ブレーキングで思いっ切りバランスを崩してしまった」

 ――終盤、アロンソを先頭にして琢磨選手、ラルフ、ミハエル・シューマッハーの4位争いがすごかったですね。

 「インフィールドはボクが速くてアロンソに追い付いてしまうんです。でも、ウイングを立てすぎていたために、7速ギアで思いっ切り引っぱってスリップストリームに入りかけるんですが、追い付くだけ」

 ――トップスピード競争はアロンソ4位、琢磨選手9位でしたからね。残り3周でラルフに抜かれましたが、あれはどういう状況だったんですか?

 「アロンソを追って1〜2コーナーでトライして立ち上がりでスリップストリームに入ろうとしていたんですが、3コーナーでタイヤのカスを拾ってしまって、そこをラルフにやられた」

■右肩痛何とか乗り切った

 ――最終戦を6位で終えた感想は?

 「思いっ切りオーバーシュートしたり、自分のミスもあったんですが、BARホンダチームがコンストラクターズランキング2位を確実なものにするために絶対ポイントを取らなければならなかった。だからリスクは負えなかった」

 ――今シーズンを振り返ってどうですか?

 「短くもあったし、長くもあった。ドラマもありましたね。しかしコンストラクターズランキング2位ということで予想以上のパフォーマンスを発揮でき、トップグループの中で走れたのはいい経験になりました。この経験を今年のオフテストから生かしたい」

 ――今後の予定は?

 「この後1カ月はテスト禁止期間に入り、11月下旬からバルセロナテストが始まりますが、そこから走るかどうかはまだ決まっていません。11月いっぱいリフレッシュして(バーレーンGPのレース中に痛めた)右肩奥の腱(けん)の治療に専念するかもしれません。肩は今回も時々押さえて走ったんですが、なんとか乗り切りました。12月にはマシンのシートに戻りたいですね。ファンのみんなにはいっぱい応援してもらってうれしかった。来年も攻めていきたいと思います。応援してください。今年1年ありがとう!」(聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)
決勝を前にスタッフと最後の打ち合わせ。タイヤチョイスが難しかった(カメラ=松本浩明)
決勝を前にスタッフと最後の打ち合わせ。タイヤチョイスが難しかった(カメラ=松本浩明)