デング熱じゃなくてひと安心…
第2戦マレーシアGP編
マレーシアGPが始まる前は元気いっぱいだったが…(カメラ=松本浩明)
マレーシアGPが始まる前は元気いっぱいだったが…(カメラ=松本浩明)
 思わぬ熱病に侵されてマレーシアGPの予選・決勝を欠場した佐藤琢磨(28)=BARホンダ=が元気を取り戻した。ウイルス性の病気のため、関係者も接触できなかったが、このほどようやく連絡を取ることができ、イギリスから明るい声が届いたのだ。欠場に至るまでの経緯を初めて語った琢磨は、今週の第3戦バーレーンGP(4月3日決勝)での復活を誓った。

 ――金曜日の囲み(合同インタビュー)以来です

 佐藤琢磨「話すのも1週間ぶりですね(笑)」

 ――長い闘病生活(!?)でしたが、その経緯は?

 「(レース週の)木曜日の夜からすでにちょっとのどが痛かったんですね。金曜日朝に微熱が出て、目も痛くなった。これはなんだろう?と思ったんですが、走れば元気になるだろうとやってみた。でも、ボーッとしてて本調子じゃない。夕方になったら38・5度の熱が出てきて、さすがにこりゃマズイと。それで夜のチームミーティングが終わった後にメディカルセンターに行って点滴を1本打ったら元気になってホテルに戻ったんです」

 ――オーストラリア後、日本に戻った時も風邪気味の日があったとか?

 「そう、体調を崩して、マレーシアに行った時は病み上がりで疲れていた。それで抵抗力が弱かったのかもしれません。金曜日夜10時ごろホテルに戻ったんですが、熱が下がらないんです。そのうち体中の筋肉が痛み始めた」

 ――土曜日は朝早くからサーキットに来てました

 「出走に間に合うように行ったんですが、熱が下がらずFIAのドクターからストップがかかった。それでプラクティス3を逃してもプラクティス4に走れるかもしれないし、午後の予選には出られるかもしれない。それで朝の8時から点滴を始めて7時間打ちっぱなしでしたが、熱が下がらない。抗生物質、解熱剤も投与したんですが、熱が上がったり下がったり不安定。すごくのどが渇いた。それでドクターは『絶対走っちゃダメッ!』と言うし、アンソニー・デビッドソンも1周でも多く走らなければならないんで予選はあきらめました」

 ――日曜日もサーキットに来てたとか?

 「もし体調が戻ったら、最後尾でもピットスタートでもいいから出たかった。規則では出られるんですよ、金曜日には走ってますから。走るつもりで日曜日の朝も血液検査と点滴を受けてたんですが、熱が39度から下がらず、全然良くならない。大学の医師もデング熱(蚊が媒介する熱帯地方の熱病)じゃないことは確かだけど、体が何かと戦っていると」

 ――レースはTVで観(み)た?

 「スタートの午後3時5分前くらいにTVのある病室に移してもらい、毛布にくるまって観てました。つらかったですね、レースに出られないのは。特にスタートを観るのは面白くない。2003年を思い出しました。現場に居るから外から“ウォーン”と、エンジンの音が聞こえて来る。レース中もずっと点滴でチェッカー寸前まで打ってましたけど、筋肉は痛いし、クラクラするし、何やってるんだろう?という感じでいやでしたね」

 ――その後は?

 「デング熱じゃのでマレーシアを出国できまして、月曜日の昼にイギリスに向けてたって火曜日に着きました」

 ――イギリスでも治療を?

 「血液検査ですね。ドライバーではボクだけでしたが、BARホンダのメカニックも3〜4人似たような症状にやられてたみたいです。代わりのメカニックが急きょイギリスからマレーシアに来たと聞いてます」

 ――いまの体調は?

 「イギリスに戻ってからは熱も下がったし、のどの痛みもなくなりました。ただ、しつこいウイルスで、熱はないのに早朝に寝汗をかく。それも土曜日にはなくなりましたからもう大丈夫です」

 ――病名は?

 「病名はない。ウイルス性熱病なんでしょう。ウイルスは何万種類もあって、照合するのは難しいみたい。こういう病気は自分の免疫力で治すしかなく、もう抗体ができたから大丈夫、平常に戻りました。月曜日に最後の検査を受け、火曜日にバーレーンに向かいます」

 ――病欠は初めて?

 「全競技生活でも病欠は初めて。風邪はありましたけど、長くて2日間で治りました。身体のコンディションには普段から十分注意してますが、こればっかりはしょうがないですね」

 ――マレーシアGPを観てどんな感想を? ホンダは早々に居なくなった

 「あれならボクが出ていてもしょうがなかったかな。開幕前からボクが口を酸っぱくして言ってたようにやはりルノーが強い、マクラーレンも速い。オフの間にボクたちはフェラーリをターゲットにしていたわけですけど、オフでもレースでもフェラーリは思ったほど速くなかった。ただ、ボクらのチームも大失敗したわけじゃない。マレーシアでのバトンのオープニングラップを見ても分かるように、ルノーもマクラーレンも手が届かないところに去ったわけじゃない。これからですよ」

 ――マレーシア後のポールリカールテストは?

 「逐一報告を受けましたが、ドライではあまりテストできなかったみたい。主にフロントウイングとフロア(アンダーボディー)のバック・トゥ・バックのテスト。継続しかないですね。ニューパーツはない」

 ――バーレーンもマレーシアに負けず劣らず暑い。病み上がりの身にはこたえるでしょうね

 「マレーシアより湿度が低いですが、マレーシアより暑い。身体的にはきびしいサーキット。ボクとしてはできることはすべてやったし、大丈夫だと思います。去年も力強いレースができたサーキットですからね」

 ――最後にトーチュウ読者にメッセージを

 「ご心配おかけしました。申し訳ない気持ちでいっぱいです。多くの読者の方からメッセージをいただいて、みなさんのおかげで元気になりました。バーレーンで復活します、応援してください!」(聞き手=モータースポーツジャーナリスト・西山平夫)