今シーズン最高のレース
第16戦中国GP編
失格の対象となったシーン。これではどこにも逃げられない(カメラ=松本浩明)
失格の対象となったシーン。これではどこにも逃げられない(カメラ=松本浩明)
 「間違いなく、シーズンベスト・ソ・ファーだよね!」。チームのメンバーにとっても、今季最高の出来だったと琢磨は言った。「鈴鹿に? うん、つながる、つながる。ミッドランドにもストレート勝負でやっと勝てた。難しいコンディションだったけど(担当エンジニアの)ジェリーともタイヤのこととかバランスのこととかたくさん話して、バトルして、自分のポジションが少しずつ上がっていくのも見てたし、すごく楽しかった。トラブルにもうまく対応でき、実りの多い、リザルト以上のレースだった」。“病弱”だったSA06も「元気な走りを見せてくれました」

 そんな琢磨の表情を少し曇らせるのは、レース後、競技会審査委員会に呼ばれた一件。53周目にはいったんハイドフェルトに先を譲り、その後方を走っていた。が、最終ラップの1コーナーでハイドフェルトのマシンが滑り、その間に前に出て同一周回に戻った。

 「相手には周回遅れのクルマが再度、抜くべきではないと言われました。競技委員会は抜いたことは問題ないと言うけど、その後ブルーフラッグを無視し、ニックを1周、抑えたのがいけないとも。でも、抜いたのは僕が追いついていたから。雨が降ってきて、あのラップは僕の方が速かったから。僕はニックを抑えてない」。ブルーフラッグを琢磨は見ていない。FIAのインフォメーションモニターにも最終ラップでナンバー22に青旗が振られたという情報は出ていなかった。

 BMWにしてみればヘアピンで前に琢磨、右からバトンに抜かれ、後ろからはバリチェロが追突と“ホンダ3台に囲まれた”印象があるのかも。が、もちろん、そんなチームプレーをするわけがない。「ヘアピンに入る時に白いマシンが右に動くのがミラーで見えたから、ニックだと思い道を譲る形で左のラインに戻った。抜かれてから、あれ? ジェンソンだって気づいた。あとは後ろで何があったか知らないし、ヘアピンでは誰とも接触していません」

 鈴鹿に向かっていいレースができた。一方で理不尽な裁定が下ることを不安に思いながら、琢磨はサーキットを後にした。(今宮雅子)