ようやくレースできる〜日本人3人体制は考えてない
第11戦フランスGP編
レース後、モンタニ(右)をねぎらった亜久里代表(カメラ=川柳晶寛)
レース後、モンタニ(右)をねぎらった亜久里代表(カメラ=川柳晶寛)
 いよいよ今日19日、スーパーアグリの新車「SA06」がシェークダウンされる。待ちこがれていたマシンが完成したことで、鈴木亜久里代表(45)もホッと一息。余裕十分でフランスGPを振り返る。苦しかったこれまでの締めくくりのレースでチームと代表自身が得たものは何か。2度目の開幕戦に寄せる期待は――。

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 今回のフランスGPは、デビュー以来さんざん苦労させられたSA05の最後のレースとなった。次戦ドイツGPには新車SA06を2台しか用意できないからスペアカーとしてこのSA05を1台持ってはいくが、出番がなければ役目はそこで終了。あとはお蔵入りということになる。ちなみにドイツではサードカーを走らせる予定はない。

 また、第5戦ヨーロッパGPからセカンド・ドライバーとして7レース走ったフランク・モンタニもこれで契約終了。もともと彼との契約は前戦アメリカGPまでだったのだが、今年100年目を迎えたフランスGPにフランス人ドライバーがいないのもマズイだろうと考え、このレースも走ってもらうことになったのだ。

 最初に、今回でサード・ドライバーの仕事が最後になる山本左近についてだが、ここでもいい仕事をしてくれた。金曜日の午前中は燃料系トラブルでマシンが止まってしまい、午後は最後のアタックに入る時にクルサードに引っかかってしまって納得いかない部分はあったが、予定されていたプログラムはこなしてくれた。

 左近はイギリスからサード・ドライバーとして走り始め、これで4戦経験を積んだわけだが、ミスはないし、コンスタントだし、器用な子なのでそろそろレギュラー・ドライバーとしてもやっていけるだろうと判断して、アメリカGP中にドイツGPから走ってもらうことを決断した。

 これで再び2人の日本人ドライバーで走ることになったわけで、新車投入と併せて心機一転頑張りたい。ただし、この先サード・ドライバーにも日本人を起用して日本人ドライバー3人体制にすることは考えていない。

 佐藤琢磨は散々なレースになってしまった、というよりレースをさせてあげられなかった。まず土曜日午前中に燃料系トラブルでエンジンがストップしてセッティングを完璧に煮詰めることができずじまい。それでも予選でモンタニとそん色ないタイムを出したのはさすがだった。モンタニの方が0.2秒タイムがよかったのはモンタニがソフト、琢磨がハード・タイヤを選んだからである。

 ところがレースはフォーメーション・ラップに出ていく時点からクラッチにトラブルが発生。いつもうまいダッシュをみせるスタートでもクルマが前に進まず、アデレード・ヘアピンでようやく前に追い付いてモンテイロを抜いたが、その直後にクルマが止まってしまった。琢磨には気の毒なレースになった。

 一方、モンタニは3周遅れながらミスのないレースを続け16位完走。フランスGPで唯一のフランス人ドライバーが完走できて本人もファンもうれしかっただろう。経験豊富なドライバーだけある。彼とは今後のことはまだ話し合っていないが、再びサード・ドライバーとして働いてもらう可能性はある。

 さて、これで苦痛のレースは終わった。この暑い時期に長いウインター・テストが終了したわけだが、待ちくたびれてしまった、というのが実感だ。

 待望の新車SA06は19日(水)にシルバーストーン南コースでテスト。2台を持ちこんで佐藤琢磨と山本左近に乗ってもらう。SA05を使っての長い苦痛の時を送ったが、この間の実戦経験の積み重ねでピット・ストップ作業なども速くなった。あとは新車が速く走ってくれればライバルたちと“レース”ができる。シルバーストーンに向かうのが大いに楽しみなのだ。(鈴木亜久里)