課題は信頼性
第15戦イタリアGP編
進歩を強調する亜久里代表(カメラ=神代雅夫)
進歩を強調する亜久里代表(カメラ=神代雅夫)
 新車「SA06B」と格闘するスーパーアグリ。今回も佐藤琢磨が2周遅れの16位、山本左近はリタイアと相変わらずの結果だったが、その内容は着実に進化しているという。M・シューマッハー(フェラーリ)の引退で騒然とするモンツァで46回目の誕生日を迎えた鈴木亜久里代表が、その成果を報告する。

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 このイタリアでサードカーも含めてSA06Bがキチッと3台並び、また前週のモンツァ・テストにも参加できたことで、わがチームもようやくF1チームらしい格好になった。

 シーズン中の合同テスト参加は今回のモンツァが初めて。初日が満足に走れなかったり、トラブルが出たりもしたが、トラブル出しもテストの目的のひとつであり、ボクもテストに参加したが、いい感触をつかめたと思っている。

 そのテスト効果は早くも金曜日に表れた。サード・ドライバーのモンタニがなんと10番目のタイムをたたき出してくれたのだ。これにはビックリもしたが、うれしかった。

 実は金曜日の9月8日はボクの46歳の誕生日。現役時代も毎年誕生日はモンツァで迎えていたが、チーム・オーナーになって初めての誕生日もモンツァで、しかもモンタニがいいタイムを出してくれて、これ以上のプレゼントはない。いまの自分の立場になると、プレゼントに“モノ”はいらない。くれるんだったら、速いクルマがほしいと願うばかりである。

 予選も悪くなかった。佐藤琢磨21位、山本左近22位とまたもビリッケでポジションは変わらなかったが、なにしろトップとのタイム差は2.5秒。決して小さいとはいえないが、かつて6秒も7秒も離されていたことを思い出せば「ヨクデキマシタ」のハンコを押したいくらい上出来だと思った。チームとしてはハッピー。ここから“攻めて”いかなければならない。

 しかし、さすがにF1界は甘くないとも思った。自分たちがパフォーマンス・アップしたからといって即上位にいけるわけでなく、ということは他のチームも性能向上しているわけで、簡単にはいかない。もっとも、それだからF1は面白いとも言えるのだが。

 決勝レースはもっと厳しかった。佐藤琢磨のレースカーはグリッドに着く前にハイドロリックのトラブルが発生。スペアカーに乗り換えて、ピット・スタートとなった。

 このハイドロリックのトラブルは山本左近のクルマにも発生してピット・イン、リタイア。また佐藤琢磨のマシンには、トルコの予選で発生したのと同じマシンのフロアのカーボンファイバーがはく離するトラブルが出てしまい大きくペース・ダウン。16位でフィニッシュするのがやっとだった。2人のドライバーには悪いことをした。

 SA05からSA06Bへとマシンが進化し、パフォーマンスは確実に向上した。しかし、信頼性の問題が多発。これを解消することが当面の目標となった。速さも大事だが、マシンに信頼性がないとレースにならないのだ。この後、上海〜鈴鹿〜インテルラゴスのフライアウェイ3戦を戦い抜くために、この後予定しているシルバーストーン・テストで信頼性の確認をしっかり取りたいと思う。

 最後に、M・シューマッハーが今季限りの引退を発表したが、彼は全力でF1を戦い抜き、7回もタイトルを獲り、F1の記録のすべてを塗り替えた。どんなに速いドライバーでも、いつかは辞める時が来る。すべてを出し切り、戦い切って終わることを祈るのみだ。(鈴木亜久里)