2度の転倒も前回テスト上回った
モトGPセパン公式テスト第3日(最終日)
2度の転倒を喫してヒヤリとさせたマルケス(カメラ=遠藤智)
2度の転倒を喫してヒヤリとさせたマルケス(カメラ=遠藤智)
 【セパン(マレーシア)遠藤智】ロードレース世界選手権(WGP)モトGP公式テストは2月28日、当地で28台が参加して最終日(3日目)を行い、ルーキーのM・マルケス(ホンダ)がアグレッシブなパフォーマンスを披露。ウエットだった午前中と、ドライになった午後に一度ずつ転倒を喫して、ヒヤリとさせたものの、前回テストのベストを上回る走りを展開。サーキットの関係者をうならせた。最終日をトップタイムで締めくくったのはD・ペドロサ(同)。これで今月行われた合計6日間のテストで5回のトップと上々のスタートを切った。青山博一(FTR)は21番手。まだ厳しい状況だ。

     ◇     ◇     ◇

 ルーキーのマルケスが、どっきりパフォーマンスを演じながら、最終日を上々の走りで締めくくった。
 
 朝方に降った雨の影響で午前中はウエットコンディション。レインタイヤの感触やウエットのセッティングを確かめるためにコースに飛び出していった。が、「白線に乗ってしまった」と6コーナーで転倒。ドライコンディションになった午後にも「フロントが切れ込んだ」と12コーナーで再び転倒。1日2回転倒という波乱だったが、幸いケガもなく、その後の走りにも影響はなかった。

 転倒などどこ吹く風のマルケス。コース上でたまたま遭遇した憧れのV・ロッシを追いかけて接近戦に持ち込んだりと、とにかく元気いっぱい。最後の走行でアタックを行い、この日のトップタイムをマークした僚友ペドロサに0.081秒差の2番手。モトGPのテスト参加後、ベストのポジションで締めくくった。

 当然、上機嫌だ。「ウエットだった午前中はマシンの感触こそとても良かったが、白線に乗ってしまった。午後は電子制御とマシンのセットアップに取り組んだが、ドライになったせいでプッシュしすぎて転倒。でも、走りには全く影響なかった。最後にベストのアタックもできたしね」と満面の笑みだ。

 この数年、モトGPクラスのトレンドはスムーズな走りだったが、そんな常識を一気に覆してしまいそうなアグレッシブなマルケスの走り。「まだモトGPマシンを学んでいるところ。でも、僕は転ぶたびに速くなるからね」とジョークのキレも上々。そんなマルケスに人気もうなぎのぼり。ピット裏にはサインを求める地元ファンが列を作って待ち受けるがサービス精神もばっちり。気軽にリクエストに応え、ますますファンは増えるばかり。あとはモト2でみせた速さと強さを発揮するだけ。2月17日に20歳になったばかりのマルケスはスーパースターの階段を1日ごとに上り詰めている。

 ○…2日目は2番手タイムだったD・ペドロサが再びトップタイムをマークして、最終日を締めくくった。セパンでは2月に行ったトータル6日間のテスト中5回トップ。今季のタイトルレースを早くも一歩リードした形だ。「今日はウエットも試せ、ドライになってからも引き続きサスペンションのテストもできた。テストプログラムはすべて消化でき、本当に充実した3日間だったよ」と満足げ。次回のテストは第2戦アメリカGPの舞台となる米国テキサスのオースティン。「初サーキットだからね」と好調のをキープして米国に乗り込む意気込みだ。
最終日を1、2で終えたレプソル・ホンダ。2番手のマルケス(右)とトップタイムのペドロサ(カメラ=遠藤智)
最終日を1、2で終えたレプソル・ホンダ。2番手のマルケス(右)とトップタイムのペドロサ(カメラ=遠藤智)

ロッシ、手応えの61ラップ

 ○…前回のテストで総合3番手、復活をアピールしたV・ロッシ(ヤマハ)は2013年型YZR―M1のセットアップに集中した。最終日はレギュラー組最多周回の61ラップをみっちり走り込み、車体のバランスとサスペンションの設定に取り組み、手応えを得た様子。完全復活にかける意気込みを感じさせる内容だった。

 ○…マレーシアGP決勝レースと同じ周回数となる20ラップに挑んだJ・ロレンソ(ヤマハ)は「ドライになった午後は路面が滑りやすかった。レースシミュレーションのタイムはまずまず。全体的にもいいテストだったね」と余裕のポーズ。この日のベストはレプソル・ホンダの2台に続く3番手だったが、3日間の総合ではトップタイム。自信にかげりはないようだ。

 ○…初日に総合17番手、CRT勢で2番手と好調なスタートを切った青山博一は「予想通り、路面のコンディションが良くなるにつれてチャタリング(振動)がひどくなった。3日間の中で今日が一番ひどかった。とりあえず、ここでやれることはすべてやったけどね」と渋い顔。しかし、それも一瞬で、「チームと一緒に次に向けて対策を考えたい」と、巻き返しに闘志を燃やしていた。
最終日を4番手で締めくくったロッシ(カメラ=遠藤智)
最終日を4番手で締めくくったロッシ(カメラ=遠藤智)
 ○…2014年からモトGP復帰の準備を進めているスズキのマシンを担当している青木宣篤が公式テストの視察に訪れた。ホンダ、ヤマハ、ドゥカティのモトGPマシンの現状分析のためで、ライバルマシンをしっかり観察。「去年はホンダとヤマハの一騎打ちだったが、今年もホンダとヤマハの仕上がりの良さを感じた。やっぱりこうして現場で見ないと分からないことが多いし、とても参考になった」と成果をアピールしていた。
テストを視察に訪れたスズキの青木宣篤(カメラ=遠藤智)
テストを視察に訪れたスズキの青木宣篤(カメラ=遠藤智)
[モトGPセパン公式テスト第3日](路面:ウエット&ドライ)
 順 ライダー     (チーム/マシン)        タイム       周
 1 D・ペドロサ   (ホンダ/ホンダ)        2分00秒562 57
 2 M・マルケス   (ホンダ/ホンダ)        2分00秒643 54
 3 J・ロレンソ   (ヤマハ/ヤマハ)        2分00秒992 56
 4 V・ロッシ    (ヤマハ/ヤマハ)        2分01秒062 61
 5 A・バウティスタ (グレッシーニ/ホンダ)     2分01秒078 43
 6 C・クラッチロー (テック3/ヤマハ)       2分01秒094 59
 7 S・ブラドル   (LCR/ホンダ)        2分01秒309 46
 8 A・ドビツィオーゾ(ドゥカティ/ドゥカティ)    2分01秒650 44
 9 N・ヘイデン   (ドゥカティ/ドゥカティ)    2分02秒070 53
10 B・スミス    (テック3/ヤマハ)       2分02秒314 64
13 R・ドゥプニエ  (アスパル/ARTアプリリア)★ 2分02秒863 45
15 中須賀克行    (ヤマハ/ヤマハ)※       2分03秒154 32
17 吉川和多留    (ヤマハ/ヤマハ)※       2分03秒257 26
21 青山博一     (アビンティア/FTRカワサキ)★2分04秒512 51
27 高橋巧      (HRC/ホンダ)※       2分04秒749 65
【注】★=CRT、※=テストライダー。タイヤはブリヂストン。出走28台