本紙記者が試乗
HVプリウスをベースにEV性能を高めたプリウスPHV(田村尚之撮影)
HVプリウスをベースにEV性能を高めたプリウスPHV(田村尚之撮影)
 トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)に続く環境車と位置付け、外部からも充電できるプラグインHV「プリウスPHV」に乗った。搭載電池をベースのHVモデルに比べて約2倍に増やし、電気自動車(EV)モードの走行距離を大幅に増やした。高級感を演出した造り込みでHVとの差別化も図り、販売が低迷した初代(12〜17年)の弱点を克服。発表1カ月で月販目標の5倍、1万2500台もの受注が入った。

日常使いほぼEV

天井にはオプションのソーラーパネルが
天井にはオプションのソーラーパネルが
 次世代の環境車に指名されたプリウスPHVは、日常使いではほとんどEVだ。

 発表では68・2kmのEV走行が可能とされるも試乗車で記録できたのは35kmほど。数字だけなら期待外れだが、今回試乗した高速道路や横浜市内の渋滞した道などを80分間も走ることができた。

 個人的にはこれで十分だ。燃費ならぬ“電費”的に不利なエアコンやカーナビ、ラジオもつけてても、急な上り坂でアクセルを踏み込んでエンジンがかかることはなかった。近所で用事を済ませるのならEVだけで事足りるのだ。

 もっと長い距離を走れば、エンジンが始動して普通のHVになる。電池容量が2倍になるなどベース車のHVより約150kgも重量が増えたが、開発陣が意地をみせてHV走行時の10・15モード燃費は37・2km/リットル(HVプリウスは最高40・8km/リットル)を記録。充電場所を探して冷や冷やしながら走る従来のバッテリー方式のEVより使い勝手は格段に良いだろう。

 駆動用モーターに加え、ジェネレーター(発電機)を駆動用としても使う「デュアルモータードライブシステム」を採用。スタートダッシュや追い越し時の加速はEV特有の力強さがある。アッという間に時速100kmを超え、同135kmまでEV走行できる。

 フットワークはさすがに重さを感じる。ハンドルを切り込んだ時に150kg増を体感するが、穏やかな挙動は高級車−とも取れる。早い話、峠道で飛ばさない限りあまり気にならない。

 弱点は4人乗りということだろう。燃費など走行データを整えるため利用頻度が少ない“5人目”を断腸の思いでカットしたもよう。ほとんどの人は問題を感じないだろうが、1台で全てをまかなう人にはマイナス要素かもしれない。

個性的なデザイン

充電中の様子。家庭用100VからOK
充電中の様子。家庭用100VからOK
 デザインは先代プリウスPHVの反省から、HVモデルとの差別化に力を注いだ。リアのガラスハッチに丸みを帯びた個性的なデザインを採用するなど室内外に独自の処理を施し、静粛性にもこだわった。開発陣は「ワンランク上」を目指したという。

 充電時間は家庭用の100V電源で約14時間、同200Vで2時間20分ほどで満充電できる。専用施設の急速充電は20分ほどで80%の充電が可能だ。特に家庭用100Vは専用コードが標準装備され、特別な工事を必要としない。車庫など環境が整っていれば、手軽にEVライフが楽しめる。

 値段は326万1600円から。メインは「Sナビパッケージ」の366万6600円と「A」の380万7000円。少しばかりお高いが、発表1カ月で1万2500台もの受注があったことは、世間が未来を先取りしたプリウスPHVを待ち望んでいたことを証明している。

  (田村尚之)

ソーラーパネル 1日2・9km分発電

 オプションのソーラーパネル(28万800円)は未来を先取りした気分になれる。1日最大6・1km分、平均は2・9km分の電力が発電できる。1日3km…と思うなかれ、1週間ためれば平均値でも21km分。まだ補助的なものだが、次世代車にはぴったりだ。