コネクティッドカー第1弾体験試乗記
スポーティーに生まれ変わった15代目クラウン
スポーティーに生まれ変わった15代目クラウン
 トヨタ自動車を代表する高級セダン「クラウン」が15代目に生まれ変わった。脈々と続く伝統を継承しながらも、新しいユーザーの獲得を目指して、走行性能の充実を図り、クーペボディーのような流れるスタイルを採用。同社が今後大展開する通信機能を備えたコネクティッドカー(つながる車)の第1弾となった。 (ペン&カメラ=田村尚之)

紹介から予約まで

リアウインドーの傾斜角度が緩くなったリアビュー
リアウインドーの傾斜角度が緩くなったリアビュー
 発表会では豊田章男社長が壮大なプレゼンテーションを開いたコネクティッドカーだが、一般的なユーザーにはピンとこないのも事実。通信機能を備えることでどんなメリットが生まれるのだろうか。

 現時点で一番便利だと思われるのが、オペレーターを呼び出して口頭でカーナビゲーションの目的地設定などを行ってくれることだろう。クラウンではコンシェルジュ機能もあるので、レストランやホテルを紹介し、予約まで行ってくれる。まさに至れり尽くせりだ。

 また、専用アプリをダウンロードすれば、スマホで車の状態を管理することもできる。通信アプリ「LINE(ライン)」と提携し、愛車がライン仲間となって自宅にいながらナビの設定などもできる。さらに販売会社ともつながっているので、走行データなどから修理が必要な場合には連絡が入るという。すこぶる便利だ。

 実用化まで目前の完全自動運転には欠かせない技術で、一歩ずつ未来に近づいている。トヨタは今後投入する新型車を中心に全てコネクティッド化を進める予定。5〜6年もすればこの「つながる」技術は当たり前になっていそうだ。

 と、新技術の話題が先行しているが、斬新な進化を遂げたクラウンの車としての魅力を忘れてはならない。基本骨格のプラットフォームを一新して機械としての機能が一段と上がり、外観ではCピラー(窓の一番後方の柱)を細くし、リアウインドーの傾斜角度を緩くしてクーペのような姿になった。保守的なユーザーが多いクラウンとしてはかなりの改革だろう。

 開発者は「新しいユーザーを取り込むための挑戦。Cピラーをなくしたことで、その場所にあった伝統の王冠マークもなくした」という大胆さだ。デザインは人それぞれ好みがあるので一概には言えないが、すっきりとして欧州車のような雰囲気を醸し出している。

走行モード変えると

つながる車はLINEとも連動する
つながる車はLINEとも連動する
 そんな挑戦は走りに顕著に表れ、驚くほどスポーティーになった。走行モードが標準タイプで3種類、スポーティーなRSタイプで5種類選べ、エンジンの出力特性からサスペンションの硬さ、ハンドルの重さまでも変えられる。クラウンらしい緩やかな乗り味は「標準」や「コンフォート」モードで味わえるが、「スポーツ」や「スポーツ+」にするとちょっと驚きの乗り味に変心する。

 走行性能を担当した開発者は「従来のユーザーにも満足いただける乗り味を残しながら、走りを突き詰めた」と語る。とりわけ排気量2リットルの直噴ターボのRSシリーズは、スポーツ+モードで走るとクラウンとは思えない瞬足ぶり。最量販の排気量2・5リットルエンジンを搭載するハイブリッドモデルに比べると重量が約40キロ軽く、コーナーでフロントがキビキビと動くスポーツカーのよう。タクシーやパトカーのイメージが強いクラウンのイメージを払拭(ふっしょく)する切っ掛けとなるだろう。

 徳川幕府は大政奉還して15代でついえたが、クラウンの15代目はどんな未来を切り開くのか。車としての進化は驚くばかり。あとはユーザーがどう受け入れるかだ。

 ★燃費 最量販の排気量2.5リットルのハイブリッドモデルは実用に近い新基準のWLTCモードで1リットル(以下同)20キロを記録するが、試乗車で高速道路や郊外のルートを40キロほど走っても20キロ近いデータが出た。トルク感も強くクラウンらしい走りが楽しめる。一方、ターボはカタログ上12.4キロで、山道を中心に積極的にアクセルを踏み込んだ試乗車でも10キロ近くだった。

 ★価格 ターボは460万6200円から559万4400円。

 2.5リットルハイブリッドが497万8800円から632万3400円。3.5リットルハイブリッドは623万7000円から718万7400円。