試乗記
車として高い仕上がりをみせるホンダの「クラリティPHEV」(田村尚之撮影)
車として高い仕上がりをみせるホンダの「クラリティPHEV」(田村尚之撮影)
 ホンダが、家庭でも充電できるプラグイン方式のハイブリッド車(HV)を初めて市販した。燃料電池車として2016年に売り出した「クラリティ フューエルセル」の派生モデルとなる「クラリティPHEV」だ。同社のミニバン「オデッセイ」などに搭載する2モーター方式のハイブリッドシステムを搭載し、バッテリーを強化して電気自動車(EV)モードで100キロ以上の走行が可能になった。 (田村尚之)

ほとんどEVモード

2モーターのハイブリッドシステムを搭載(田村尚之撮影)
2モーターのハイブリッドシステムを搭載(田村尚之撮影)
 クラリティPHEVはほとんどEVだ。燃費を計測するJC08モードで114・6キロ、より厳しい新基準のWLTCモードでも101キロエンジンを動かさずに走れ、バッテリーが満充電なら日常ユースでほとんどEVモードで過ごせる。

 横浜市内を約40分走った試乗でも、ずっとEVモードだった。思い切りアクセルを踏み込むとエンジンは動きだすが、びっくりするようなスピードになってしまう。当日は猛暑日のためエアコンは全開だったが、エンジンを使わず80キロぐらいは走れそうだった。

 新鮮だったのは、その走り味。スルスルと動きだし、気が付いたら時速80キロ前後になっていることがあった。ガソリンエンジンの加速感とは明らかに違い、これまでのEVのようなガツンと加速する感じでもない。あえて表現するなら、電車の加速感に似ていた。

 開発者は「EV特有のフィーリングにこだわった」という。オデッセイなどと同じシステムを搭載するが、電子制御システムなどを改良してモーターの出力を上げ、EVモードで時速160キロまで走れる。組み合わされるエンジンはオデッセイの排気量2リットルから同1・5リットルに落としたが、パワーユニット全体の性能は変わらないという。

 ホンダは2030年をめどに、世界販売の3分の2を電動化する目標を掲げている。電動化というと、燃料電池車やエンジンを搭載しない純粋なEVを想像しがちだが、充電ステーションなどのインフラ整備が進まないうえ、バッテリーの性能が上がらず航続距離が伸びない課題を抱えている。そんな現状を踏まえると、より性能を磨いたプラグインHVが中核を担うことになるはずだ。

 日本では昨年デビューしたトヨタ「プリウス」の2代目プラグインHVが約2万台を販売したという。三菱自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「アウトランダー」も堅調が伝えられる。プラグインHVの国内市場も2005年には3万5000台規模だったのが、昨年には6万台規模に発展。日本では使用環境に合った通常のHVが主流ながら、ゆっくりと拡大している状況だ。

価格は強気設定でも

すっきりとまとめられ視認性の良い運転席回り(田村尚之撮影)
すっきりとまとめられ視認性の良い運転席回り(田村尚之撮影)
 課題は価格。クラリティPHEVは昨年12月に売り出した米国では堅調ながら、7月に売り出した日本では苦戦中。5人乗車でEV感が強く、プリウスより車格が上ということで、588万600円という強気な価格設定にした。それが二の足を踏む材料になっているようだが、懐に余裕があって、環境意識の高い人なら次期愛車の候補になるだろう。試乗する機会に恵まれれば、新しい時代を感じられるはずだ。
クーペのようなリアビュー(田村尚之撮影)
クーペのようなリアビュー(田村尚之撮影)