約11年ぶり販売台数首位に立った名車に試乗 
引き締まった印象の新型カローラはセダンでも随分と若返った感じだ(田村尚之撮影)
引き締まった印象の新型カローラはセダンでも随分と若返った感じだ(田村尚之撮影)
 12代目に進化したトヨタ自動車の基幹車種「カローラ」が歴史的な復活を果たした。10月の乗用車系販売台数で約11年ぶりの首位に立ち、2001年まで33年連続で国内販売ナンバーワンを記録した人気を取り戻した。世界共通のプラットフォーム(基本骨格)を採用して同車初の3ナンバー車格になり、内外装のデザインを大きく変え、走りもスポーティーなイメージを前面に打ち出して若返った。最新の技術でよみがえった名車を試乗した。

3ナンバー車格になりスポーティーに

リアビューもスポーティー(田村尚之撮影)
リアビューもスポーティー(田村尚之撮影)
 新しいカローラを走らせると、その違いが手に取るように分かる。軽やかに走り出し、ステアリングを切り込んだ感触もしっかり伝わってくる。クルマの流れが速い欧州車のようだ。

 そんな違いを生みだしたのは、ボディー剛性であり、サスペンションの調整だろう。ボディーの強さは新しいプラットフォームによってもたらされ、サスは新開発のショックアブソーバー(減衰装置)の採用が効いている。トヨタの匠(たくみ)と呼ばれる熟練の開発者がこだわり抜いて作り上げた走り味は、柔なイメージが強かったカローラを一新させた。

6速MTを設定

シャープな印象の室内(田村尚之撮影)
シャープな印象の室内(田村尚之撮影)
 サーキットや峠道を攻めるようなクルマではないが、どんな道でもクルマを操るのが楽しくなる。ドライバーの意識が確実に伝わるような信頼感のあるハンドリングだ。そんな開発者の強いこだわりが、現在では珍しい6速マニュアルトランスミッション(MT)を設定したところにも現れている。残念ながらMTモデルには試乗できなかったが、新しいカローラが持っている魅力を100%引き出せるはずだ。

 50ミリ広くなった車幅もほとんど気にならない。3ナンバー化は社内でもかなり論議されたというが、無理やり5ナンバー枠の1695ミリに抑え込むより、室内空間やデザインなど本来の魅力を失わないぎりぎりの1745ミリに落ち着いた。開発者は「この数字は先代プリウスと同じ。月販2万台近く売れた車両なので、世間も認知していると判断した」と説明する。

 室内スペースはボディーサイズが一回り大きい海外仕様と同じという。衝突安全基準をクリアしながら外寸だけをうまく縮めた。それに伴い外装デザインは凝縮した感じが強くなり、スポーティーさが強調された。

最新の安全装備

 今やクルマ選びで重要な要素になった安全装備にも力を注いだ。同社の高級車「クラウン」などと変わらない最新鋭のシステムを備え、自動ブレーキと呼ばれる衝突軽減ブレーキは、自転車や夜間の歩行者も検知する高性能版となった。

 1966年に誕生した初代カローラは「多くの人に手が届く良いモノ」をテーマに開発され、大衆車というカテゴリーを生んだ。そんな初代の思想に立ち返った新型は、大きく変化した時代のニーズを一つ一つ盛り込みながら手が届くクルマに仕上げた。良品廉価の心意気が息づいている。 (田村尚之)

 ★値段 カローラが193万6000円から294万8000円。ツーリングが201万3000円から299万7500円。排気量1.8リットルエンジン、同1.2リットルターボ、ハイブリッドが用意され、ターボに6速MTが設定。

 ★ターゲットユーザー 30〜40代に設定したが、実際には40〜50代がメインという。ただし、中心年齢層が70代を越えていた先代からは随分と若返った。

 ★大人気 9月17日の発売から1カ月でシリーズとして約2万2000台の受注があった。セダンのカローラが5400台(月販目標1700台)、ワゴンのツーリングが1万3700台(同5400台)、同時に一部改良した5ドアハッチバックのスポーツが3000台(同2300台)。車種別の月販台数でも9月が4位(1万1046台)で10月は首位(1万1190台)。